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コロナに関する補償の国際比較  ~ 日本はヨーロッパと比べてどうか ~ [診断士的経済アプローチ]

コロナ禍で、世界経済が苦境に立たされている。
特に、休業を余儀なくされている企業や店舗は、
収入がまったくなくなっているのだから、本当に大変である。
通常の不況であれば、工夫や努力の余地もあるが、
今回は営業自体を差し止められているのだから、頑張りようがない。

収入が激減した事業者に対して、各国が様々な補償策を出している。
これについて、ヨーロッパに比べると日本は劣っているのではないかとの意見がある。
いろいろな見方があるとは思うが、単純な比較はあまり意味がない。
ヨーロッパの一部の国のように、強制的な外出制限をかけている国と日本では状況が違うし、
感染者の数も全く異なっているし、
国家体制も国柄も違うからである。

とはいっても、諸外国の動向が気になるのも自然だろう。
よくネットに取り上げられるが、個人的にはほとんど見たことのない「サンデー・ジャポン」という番組の中で、
元衆院議員でタレントの杉村太蔵さんがこんなことを話されたという。
「欧州なんかでは手厚い補償があるという報道がありますけど、
ドイツは消費税が19%でイギリスも20%なんです。
日頃、国民が負担してるんです」
「日本はまだ消費税10%。
低負担・高福祉を求める。
これは、これからなかなか通用しないんではないかというのが私の考え」

これに対してネットでは、
「消費税は低いかもしれないが、日本ではその他の税目もある」
「税金をトータルで比較すべき」
との意見が出ていた。
そこで、直近のデータでヨーロッパ各国の租税負担率を見ると、以下のようになる。
※租税負担率=国民所得に対する租税収入金額の割合

イタリア 42.3%
フランス 40.8%
イギリス 36.3%
ドイツ  31.2%
日本   25.1%

これで見る限り、消費税以外の税目を足しても、やはりヨーロッパの方が税金が高いことがわかる。
さらに社会保障費を加えた国民負担率を見てみると以下のようになる。

国民負担率
フランス 67.2%
イタリア 60.9%
ドイツ  53.4%
イギリス 46.9%
日本   42.1%

高いと思われている社会保障費を加えても、
ヨーロッパに比べると日本の国民負担は大きくないことがわかる。

もちろん、だからコロナへの補償が少なくても仕方がない、とはならない。
支えるべきは国が支えるべき局面だと思う。
しかし、ヨーロッパに比べると国民の負担が小さいことは前提として知っておきたい。
また、国が打ち出の小槌を持っているわけではないから、
ここで使った分は税金として私たちが払っていかなければならないことも、
ごく当たり前のことだがしっかり覚えておく必要がある。

前提をしっかり踏まえたうえで、
地に足の着いた議論を進めたい。

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