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映画評 「デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章」 ~期待を大きく上回る出来栄え ~ [映画評]

漫画ファンから熱烈な支持を集める浅野いにおさんのコミックの映画化。
原作は未読で、例によって予備知識なしで鑑賞。

ここのところ邦画にはびこる前後編公開だが、個人的には否定派。
というか嫌い。
映画にするのなら2時間に収めるべきだし、
後編の前振り的に前編を作るのも納得できない。
去年公開された「東京リベンジャーズ」とかひどかった。
だから、本作についても今一つ乗り切れない感じで映画館へ。

しかし、これが面白かった。
どんな話なのか予備知識なく観に行き、
予告編から、女子高生のゆるふわコメディかと思っていたのだが、
いやいや、深い怖い。

物語の設定は、巨大な宇宙船が東京上空に浮かんでいるというもの。
その状況にも慣れ、
不思議な均衡が保たれているが、
一方で、
いつ世界が終わってもおかしくない、
といった妙な緊張感にも包まれている。

二人の女子高生が主人公で、
のんびりと日常を過ごしているように描かれるのだが、
実は重い過去をしょっている。
それが突如明かされる。

前章では、謎は謎のままで終わるのだが、
中途半端感はない。
後編の予告編に使われた感もない。
本作だけでしっかり満足感がある。
すごい脚本だった。
もちろん、その脚本を活かした監督の力もすごい。

「YOASOBI」のボーカルを務める幾田りらさんと、あのちゃんが主人公二人の声を演じる。
二人の演技に違和感はなく、映画にすっぽりはまっていた。

5月に「後章」が公開されるという。
前章が面白かったのでそちらも観に行こうと思うが、
前章は、この一本だけで独立して十分に楽しめた。
決して、単なる前振りではない。

この春、アニメ映画をご覧になるなら、是非こちらを。
心がかき乱される瞬間に出会えるはずだ。

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