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天皇賞 菱田騎手が夢をかなえたストーリー [ヨモヤ]

子ども時代の夢をかなえられる人って、どのくらいいるのだろう。
信じ続ければ願いは叶う、
やめなければ思いは実現する、
できないことはない、
と言ってくれる成功者は多いけれど、
それは絵空事だと誰もが知っている。
子ども時代の夢を持ち続け、実際にかなえる人は少数である。

古馬の頂点を決める春の天皇賞。
テーオーロイヤルが力強く抜け出し、GⅠ初制覇を果たした。
そして鞍上のデビュー13年目、菱田裕二騎手にとってもこれは念願のGⅠ初勝利。

その菱田騎手は現在31歳。
なんでもちょうど20年前、家族で天皇賞を観戦に来て、
競馬場の光景に衝撃を受けたのだという。
菱田騎手はこんなことを話している。

「あのなかにあるもの、すべてに感動しました。パドックでジョッキーがまたがる姿や、競馬場全体の雰囲気。特別に何がというのは難しいけど、今思うと運命を感じる瞬間でした。それまではサッカー選手だけを夢見ていましたが、とにかくジョッキーになりたいと思うようになりましたね」

その後菱田騎手は両親を説得して競馬学校を受験して見事合格、プロデビューにこぎつけた。
しかしその後も順風だったわけではなく、
GⅠでは29連敗。
昨年にはパドックで落馬し、左肩を脱臼、長期離脱を経験した。

近年は、強い馬には外国人騎手が乗ることが主流であり、
故障をきっかけに乗り替わりがあってもおかしくないところだが、
テーオーロイヤルには菱田騎手が乗り続けた。
岡田調教師が、自所属の菱田騎手で勝ちたいと願ったのだろう。
その岡田師にとっても今回の勝利がGⅠ初勝利となった。

子どもの頃に見て、騎手を目指すきっかけとなった春の天皇賞。
そのレースで1番人気の馬に乗り、
調教師ともどもGⅠ初勝利を目指す。
なんともドラマチックな展開だが、菱田騎手の騎乗は冷静かつ自信満々だった。
レース後のコメントは初々しくも力強い。

「生きていて一番うれしいです。言葉にいい表せないです。
(騎手を目指すきっかけとなった天皇賞観戦時の)20年前の自分に見といてくれ、という気持ちで乗りました。
あの時の自分にありがとう、という感じ。
直線は後ろがわからないので、一生懸命追ってました」

人が夢をかなえるストーリーには、心を打つものがある。
普段、競馬の主役は馬だが、
こんなストーリーがあるのなら人間が主役になってもいい。
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