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簡単ではない自治体ネーミング・ライツ [公会計]

山梨県市川三郷町が募集した町施設11か所のネーミング・ライツのスポンサーが集まらず、応募企業がないまま8月末までの募集期間が終了した、
とのニュースがあった。
町は募集期間を延長し、引き続きスポンサーを求めるようだ。

ネーミング・ライツとは、日本語で言えば命名権のことで、
施設やキャラクター、イベントなどに対して名前を付けることができる権利のことを言う。
最も有名なのは「味の素スタジアム」、通称「味スタ」だろうか。
味スタのように定着するのが理想的だが、
プロ野球の楽天や西武の本拠地のようにころころスポンサー企業が変わるケースも見られる。

町のホームページを見ると、命名権のスポンサーを募集しているのは、
「生涯学習センター(ifセンター)」
「地場産業会館(印章資料館)」
「市川手漉き和紙 夢工房」
「歌舞伎文化公園」
「富士見ふれあいの森公園」
「大門碑林公園」
「市川大門総合グラウンド」
「富士見スポーツ公園野球場」
「三珠農村広場」
「ニードスポーツセンター」
「つむぎの湯」
の11施設。
なかなかよさそうなラインナップに思えるが、記事によれば、
“募集対象の中には、官製談合事件の舞台になった「生涯学習センター」や、年間の利用者数が数百人にとどまる「市川手漉き和紙 夢工房」など、必ずしも宣伝効果が明確でないケースもある。”
とのことである。
ふむ。

応募がなかったことについて、町は「十分に制度が認知されていなかったのではないか」と分析しているようだ。
記事にも経営者男性の言葉として、「スポンサーを募集していることさえ知らなかった」とのコメントが掲載されている。

町が分析しているように認知不足も理由のひとつなのだと思うが、
認知が進めば応募が増えるかというとそういうことでもないような気がする。。

まず、企業側の負担として、
同町の場合、ネーミング・ライツ料は、施設に応じて年額50万~100万円とされているが、
企業が支払わなければならないのはこれだけではない。
今回のケースだけではないが、
愛称を付した施設の案内看板の表示の変更に係る費用及び契約の期間の満了又は命名権の取消しに伴って原状回復に必要となる費用も命名権者が負担することとなる。
こちらの負担が結構大きい。

また、費用対効果の問題もある。
ネーミング・ライツ料と施設の表示変更費用を合わせて200万円かかったとして、
売上が200万円増えただけでは十分ではない。
利益が200万円増えなければ効果があったとは言えないと考えると、これはなかなか高いハードルかもしれない。
もちろん、知名度が上がるという効果はあるだろうけれど。

その他、募集している施設と企業イメージのマッチングが難しいケースもあるだろうし、
撤退することになった場合のイメージダウンを恐れる面もあるだろう。

自治体の施設は、
プロ野球のフランチャイズがある球場や大規模なコンサートが行われる体育館などと比べると、
利用者は少ないし、知名度も低いケースがほとんどである。
そのなかでいかに興味を持ってもらうか。
価値を見出してもらうか。
なかなかに難問である。

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