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議事録の意味 [ヨモヤ]

役所というところは、実に会議が多いところである。
前例を尊重せざるを得ず、縦割りの壁もあるというなかでは、いろいろな人の意見を調整しながら物事を進めていくしかないから、何かというと会議になる。
そして、その会議録の書きぶりでもよくもめる。
細かいニュアンスの違いなどが関係者間で合意されなかったりすることもままある。

役所は紙の文化が色濃く残っているから、通常、会議録は残す。
その質や内容は、作り手の資質によって変わってくるが、少なくとも決定されたことはわかるようにする。

原子力災害対策本部など政府の東日本大震災関連の10組織で会議の議事録が未作成だった問題が発覚して、かなりの騒動になっている。
役所の文化から言えば、せめてメモ程度でも議事録は残すだろうと思う一方、あの状況のなかでそれをやっている時間はあったのかな、という素朴な感想も持つ。

刻々と事態が変化し、ことによると国家存亡の危機に瀕するという状況のなか、連日会議が開かれる。
普段の予定調和の会議ではなく、議論も白熱しただろう。
これをまとめるのは大変である。
みなが、切羽詰って動き回っているなか、議事録の作成に専念できる職員はいただろうか。

もちろん、忙しかったことを理由にはできない。
重要な会議であればあるほど、その議論の過程と決定内容を記録しておくことは大切で、それがなされなかったことの歴史的な損失は計り知れない。

双葉町の井戸川町長は、
「国民への背任行為だ」
と述べ、
東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の黒川清委員長も、
「信じられないことで、理解不可能だ」
政府の対応を批判された。
批判はそのとおりだと思うし、そう言われても仕方がない。
しかし、宮城県や岩手県でも同様の問題が発覚したように、そこまで手が回りきらなかった状況も理解できなくはない。

歴史的な価値までに頭が回らなかったというのが正直なところだろう。
議事録を作る時間より、少しでも被災地のために動きたかったのだ、と言われると、それもわかる気もしてしまうのだが。
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