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何を守るか ~市の名前を売って守るべきものは?~ [お役所内診断士]

市の名称について命名権の売却先を公募していた大阪府泉佐野市が、募集期間内に、応募した企業は一社もなかったことを発表した。
名称変更には市民の間で批判があったことに加え、名称変更で生じる経費の約10億円を負担しなければならず、さらに契約期間も10年以上などと設定されていたらしいから、この結果は市側としても織り込み済みだろう。

一方、公共施設の命名権には応募があったという。
こうした状況を受け、千代松大耕市長は
「不安を与えたことはおわびしなくてはいけないが、『一円でも多く税外収入を確保する』という思いは知ってもらえた」
とおっしゃったという。

今の時代、どこの自治体も財政がひっ迫している。
かつて富裕団体の代表のような存在だった原発立地自治体は一気に苦しい立場に追い込まれ、企業城下町も明日どうなるかわからない。
そんななか、泉佐野市の取り組みは、大きな注目を集めていた。
市の厳しい財政状況を訴えるというメッセージは、十分に伝わったのではないだろうか。

私は、自治体はいろいろな取り組みをすべきだと考えているし、前例にとらわれない思い切った手法は、どんどんやっていくべきだと思う。
ただ、市の名前を売る、となると、個人的には立ち止まってしまう。

建物の名前を土地の名前は意味が違うと思う。
公共施設であれば、味の素スタジアムとなってもそれほどの違和感はないが、市の名前が例えばサムスン市やホンハイ市になったら、やはり心穏やかではいられないだろう。

企業も行政も、最後は何を守るか、ということに尽きると思う。
そして、それではまったく腹はふくれないが、「名前」というものも、こだわり、大切にするべきものではないかと思う。
泉佐野市の試みは、大きな一石を投じるものになったと思う。
何を守るべきか考えることは、何を捨ててもいいかを判断することでもある。
厳しいが、避けては通れない。

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