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地方議会の制度設計にも個性があっていい [お役所内診断士]

長崎県小値賀町議会が、議員報酬を50歳以下の議員に限り、引き上げるという条例を可決した。
月額18万円の議員報酬を、50歳以下に限り30万円に引き上げるのだという。
同町議会の狙いは、若い世代に議員になってもらうことであり、
「国が進める地方創生には若い世代の視点が必要」
と考えておられるようだ。

小値賀町の人口は約2700人。
高齢化率は、5割に迫る約46%。
町議10人の平均年齢は65・3歳で、全員が50歳を超えているという。
50歳以下の町議選立候補者は、2011年の前回選挙ではゼロだったらしい。
このままでは、議員の高齢化がどんどん進んでしまい、新たな発想も取り入れていくことができなくなるという危機感があるのだろう。
若い人の意見が必要である、という判断を、現職の議員の方々がなされたことに敬意を表したいと思う。

ちなみに、野々村議員の号泣会見で有名になった兵庫県議会の議員の報酬は、月額84万円であり、約180万円と200万円のボーナスが6月と12月に出るという。
これに加え、政務活動費が、月額45万円ある。
町議と県議では、役割も仕事の範囲も違うので単純に比較するつもりは全くないが、地方議員の間で随分と差があることに改めて驚く。
いやらしいことを言うようだが、兵庫県議会くらいの報酬がいただけるのなら、どの地域でも立候補する人は後を絶たないだろう。

報道では、佐賀大の畑山敏夫教授による
「若い世代を取り込むために様々な工夫をしようという姿勢は評価できる。ただ、ここまでしないと人材を確保できない地方の現状を象徴しているともみえる」
とのコメントが掲載されていた。
確かに異例な条例であり、教授は「ここまでしないと」という表現で表しておられるが、月額18万円では専業として家族を養っていくのは難しいから、もとが安過ぎるのではないかという気もしないではない。

こうした取り組みを見ると、今後は、画一的な地方制度を見直していく必要があるのではないかと強く思う。
規模の大小や地域柄が全く異なる地方自治体が、同じ制度で運営されているというのが、土台無理な話なのである。
例えば、アメリカで一般的な「シティ・マネジャー制度」などは、具体的な検討に値するのではないだろうか。
この制度は、議会が、シティ・マネジャーと呼ばれる行政や都市経営の専門家を任命し、議会が決定した政策の実行に対して責任を与える制度である。
これまで、議会は執行部のチェック機能が中心となってきたが、小値賀町の例にあるように、議員のなり手がないというような状況に直面しては、これまでのあり方にこだわらず、議会が執行部になるようなことも考えていかなければならないのではないだろうか。

地方に個性を、地方にアイデアを、と言いながら、地方自治を縛る法律がやたらと硬直的であるように感じる。
「中央」に、地方に自由にさせたら何をするかわからない、などと考えている方がおられるようにも思える。
アイデアを出せ、地方のことは地方でやれ、と言いながら。

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