SSブログ

雇用環境の好転は朗報 ~昨年の有効求人倍率は24年ぶりの高水準~ [診断士的経済アプローチ]

このところ、経済状況は足踏みをしていると報道されることが多い。
株価が年初から低迷しているのは外的要因もありやむを得ない面もあるが、鉱工業生産や個人消費なども、今一つパッとしていない。
ひょっとしたら、消費増税の再延期もあり得るのではないかとささやかれている。

そんななか、雇用環境については、着実に好転しているようだ。
働くということはすべての経済活動の基本になるから、ここがしっかりしているのは心強い。
厚生労働省が発表した2015年平均の有効求人倍率は、前年を0・11ポイント上回る1・20倍であった。
この数字は、1991年以来24年ぶりの高水準。
総務省が発表した15年平均の完全失業率も前年より0・2ポイント低い3・4%で、こちらは97年以来18年ぶりの低さだった。
正規雇用の数も増えているという。

求人の内容を細かく見ると、産業別では、医療・福祉のほか、外国人観光客の増加に支えられた小売業や宿泊業、飲食業などで伸びたという。
都道府県別の有効求人倍率は、東京都の1・75倍が最も高く、最低は沖縄県の0・84倍。
東京とは倍以上の大きな差がついてしまっているが、沖縄の数字は観光客の増加などを受け、同県としては過去最高の倍率だったらしい。

こうしてみると、雇用は順風満帆のようだが、そういうわけでもない。
かねてから言われているとおり、雇用の「ミスマッチ」が広がっているからだ。
つまり、求人が多い業種にはなり手が少なく、求人が少ない業種には希望者が多いという状況である。
これでは、率的には改善しているように見えても、実際に望まれるような就職につながっていない可能性がある。

介護や接客、建設などでは、有効求人倍率が3倍前後にもなるという。
つまり、求職者1人に対して、求人が3件あるという状況である。
一方、一般事務は0・27倍という。
つまり、求職者4人に対して、求人がようやく1件あるという状況である。

数字だけ見ると、一般事務で就職できなかった人も、完全な売り手市場となっている介護や建設業界でなら職が見つかりそうである。
しかし、資格がない、体力的に無理、などといった理由で、そちらに移行できない人もたくさんいるだろう。
このギャップをなんとかしていかないと、率だけが改善しても労働者の実感とは噛み合わない。

求人が増え、失業者が減るのは、大変いいことである。
景気の下支え要因として機能することは間違いない。
しかし、業界によって一方はダブつき、一方が人が足らないという状況が継続するのも残念である。
率の改善が図られた今、次は働くことの質的改善に期待したいものである。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0