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実態はあまり変わらないと思うものの複雑な心境はあり ~通訳案内にかかる規制緩和の方針~ [お役所内案内士]

5月17日付日本経済新聞の1面は、
「人手不足で規制緩和 保育士比率下げ・ガイド通訳資格不要」
との見出しだった。
通訳案内士としては、ピクッと反応してしまった。

リード部分には、
・政府が実態に合わなくなった規制の緩和に動くこと。
・人手不足が日本経済の成長を妨げないように、人材確保に本腰を入れること。
・規制改革会議で方針を示すこと。
などが書かれていた。

通訳ガイドの規制緩和については、ここのところずっと議論されてきたことであり、今回の報道に関する驚きはない。
日経の1面に取り上げられるほどのインパクトがあることなのだ、ということにはちょっとびっくりしたが。

規制緩和の内容は、
「現在、報酬を得る観光案内の通訳は『通訳案内士』の資格を持つ人に限っているが、それを資格がなくても観光ガイドとして報酬を得られるようにする。」
というものである。
なぜそんなことをするかというと、政府目標では訪日外国人客を2020年までに今の2倍の4000万人に増やすこととなっているに関わらず、通訳案内士の数は約1万9000人にとどまり、訪日客のニーズに応えきれていないとの指摘が多いからということらしい。

ふむ。
一読すると、「そりゃそうだな」と思うが、よく考えるといろいろ気になる内容である。
現在はどのように運用されているのだろうか。
本当に、有資格者しか報酬を得ていないのだろうか。
資格がなくてもいいとなったら、有資格者(私も端くれなのだが)はどういう扱いになるのだろうか。
増やすべきは英語の通訳者より、中国語や韓国語だと思われるが、その対応はどうするのだろうか。
そもそも、外国人観光客中、通訳を必要とされる方がどのくらいおられるのだろうか。
などなど。

正直なところ、規制が緩和されても、大きな混乱はないと思う。
生業として、有償でガイドをしている方はそれほど多くないし、旅行会社の対応もこれで大きく変わるとも思えないからである。
ただ、頑張って通訳案内士の資格を取った人、国家認定資格の通訳案内士として誇りを持ってガイドを務めてきた人などにとっては、納得できない人もおられるだろう。

通訳案内士としては、さすがに有資格者は違う、と言われるようなガイドを続けていくしかない。
資格がない人でも有償でガイドができるが、どうせお金を払うならやはり有資格者に頼みたい、と思ってもらえるようなガイドをしていくしかない。
そのためにも、精進精進、である。

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