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アベノミクスの転換点は税収にも [診断士的経済アプローチ]

NHKの世論調査によれば、アベノミクスへの評価について、
「大いに評価する」が6%
「ある程度評価する」が43%
「あまり評価しない」が33%
「まったく評価しない」が11%
であったという。

「あまり評価しない」という方が一定数おられるのは当然のことであるとして、「まったく評価しない」という方が1割強もおられることには、軽い驚きを感じる。
安倍政権誕生後、
株価が大きく上昇し、
企業収益が大幅に改善し、
雇用環境が好転した
といったことは、動かせない事実である。
日本経済がいろいろな問題を抱えていることは確かだが、こうした結果を残してきた政権を、「まったく評価しない」というのはどうなのだろう。
日本中の地域が豊かになり、
日本中の人が金持ちになり、
格差はまったくなくなる、
という状況を期待されているのだろうか。
そんなことが、数年間で起こるはずはないのだが。

アベノミクスの成果は、税収にも表れていて、国の税収はここ数年で大きく伸びている。
もちろん、消費増税の効果もあるが、2012年に44兆円だったものが、2015年には56兆円にまで増加している。
税収だけで見ると、バブル期に匹敵する水準に達しているのである。

しかし、その税収がここに来て変調を来している。
2015年度の税収は、前年度より2.3兆円多くなったが、今年1月時点の見積もりを1,000億円超下回ってしまった。
税収が途中段階の見積もりを下回ったのは、リーマン・ショックがあった08年度以来7年ぶりだという。
09年度以降は見積もりから年1兆~2兆円程度の上ぶれが続いてきたのだが、これが反転してしまった。

イギリスのEUからの離脱も手伝って、株価は大幅に調整し、円高も進んでいる。
日銀のマイナス金利政策も、ここまでのところは大きな成果を上げるには至っていない。
ここまではそれなりの結果を出してきたアベノミクスであるが、今が正念場となっている。

選挙戦では、アベノミクスについて、
「この道以外なく、十分に機能してきた」
「なんの意味もなく、弊害ばかりだった」
などとかみ合わない言い合いを続けるばかりではなく、これからどうするかというところに焦点を当てた議論をお願いしたい。
与党は、反省すべきところは丁寧に反省してほしい。
野党は、全否定といった不誠実な態度ではなく、評価すべきところは評価しつつ、自分たちならこうするという説得力のある具体策を示してほしい。

どちらに任せても大丈夫との確信を獲られるような議論を聞きたい。
そして、納得できる一票を投じたい。
そのためには、こちらもキチンと関心を向けなければならないのは言うまでもない。

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