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映画評 「パパはわるものチャンピオン」 [映画評]

プロレスが好きだった。
もちろん、今だって好きだが、昔ほどの熱量ではない。
学生の頃は、
毎日のように東スポを買い、
「ファイト」「プロレス」「ゴング」といった週刊誌を毎週読み、
テレビ放送は必ず見て、
大きな大会や注目カードのときには会場に足を運んでいた(会場に行くのは全日に限りだが)。
そこからすると、今は、好きなだけである。

今、現役バリバリで見ているのは映画。
その映画の題材としてプロレスが取り上げられているとあっては、どうしたって観に行きたくなる。

主演は、自称?「100年に1人の逸材」、棚橋弘至さん。
新日本プロレスの暗黒時代を支えた選手として、ファンの信頼も厚い。
もちろん役者さんではないので、演技という点ではなんとも言えない面もあるが、十分に演じられていた。
奥さん役が木村佳乃さんだから、逸材としても納得だろう。

公開されているあらすじはこんな感じ。
以前は人気レスラーだった大村孝志は、現在は悪役覆面レスラー、ゴキブリマスクとしてリングに上がり、観客からブーイングを受けている。息子には自分の仕事を秘密にしていたが、ある日それがばれてしまい、「パパなんか大嫌いだ」と言われる。
そんな大村にタイトルマッチの大チャンスが訪れる。果たしてパパは名誉を取り戻せるのか?

ストーリーは、中島らもさん原作の「お父さんのバックドロップ」に近いものがある。
プロレスを描くなら、ヒールを取り上げたくなる気持ちはよくわかる。
そうして意味では、定番と言えば定番だし、ありがちと言えばありがちな展開。
しかし、だから悪いというものではない。
ラストに向かうにつれて、ちゃんと感情移入して観ることができた。

ただ、ちょっと展開がベタであり過ぎた。
親子の関係も、子供同士の関係も、あまりにもよく描かれるパターンで、胸に届くものがなかった。
ここはもう少し突き詰めてほしかった。

雑誌記者役を演じた仲里依紗さんがいい味。
仲さんといえば、私の中では、アニメ映画「時をかける少女」の主役・紺野真琴さんの役が印象的。
一生ついていく覚悟である。
他では、ゴキブリマスクの相棒・ギンバエマスクを演じた田口隆祐さんがよかった。
田口さんは、棚橋さんと同じく新日本プロレス所属の現役プロレスラー。
演技力が問われる重要な役柄をしっかりこなされていて、驚いた。
田口さんの演技が、映画にリアリティを加えていた。

「パパはわるものチャンピオン」は、新日本プロレスのファンの方ならきっと楽しめる映画。
オカダ、真壁、天山らがスクリーンで暴れ回る。
現役のプロレスラーが出演しているので、試合のシーンのクオリティは当然高い。
他のプロレスファンの方も、楽しんで観られると思う。
極端な期待をせずに観に行けば、ほんわり温かい気持ちになれるだろう。

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