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書評 「自治体職員をどう生きるか」 [読書記録]

本著は、地方公務員界隈では超のつく有名人である山形市職員の後藤好邦さんが書かれたもの。
タイトルから、大ベストセラーとなった「君たちはどう生きるか」を連想する方も多いと思う。
後藤さんは、主体的に自治体職員である自分を生きていくことを強調するために、
このタイトルを付けられたそうだ。
そのため「自治体職員は」ではなく、「自治体職員を」となっている。

サブタイトルに、
「30代からの未来のつくり方」
とある。
もちろん、ターゲット層である30代に最も刺さるだろうと思うが、
20代の人はもちろん、定年を目前に控えた人であっても、
十分に活かせる内容になっている。

後藤さんは、900人を超えるといわれる「東北まちづくりオフサイトミーティング」の主催者であり、
全国を講演やらなにやらで飛び回られている。
このごろ使われる表現で言えば、いわゆる「スーパー公務員」なのだろうが、
気負ったところが感じられない。
自らが、
こうしたい、
こうしたら楽しそう、
こうしたらみんなに喜んでもらえそう、
といったことを自然に積み重ねてこられた結果、
周りの人たちから一目も二目も存在になられたようにお見受けする。
この本でも、「こうすべき」と決めつけられるのではなく、
「自分はこうした」
「こうしたら素敵じゃないかなあ」
と語りかけて来られる。
実践者として身銭を切って走り回られて、
日本中にファンがおられる後藤さんの言葉だけに、
読む人にすっと届くのではないだろうか。

本の中には、後藤さんが心がけておられる印象的な言葉がいくつも書かれている。
例えば、
「まず身近な『知域』から」
「目指せ『認められるマイノリティ』」
「頼まれごとは試されごと」
などである。
後藤さんの人を巻き込む力には定評があるが、
その秘訣として、
行動力や誠実さに加え、
短く印象的な言葉で伝える力があることを改めて知った。

自治体職員としてどう生きようが、それぞれの自由といえばそれまでである。
しかし、ふと立ち止まってじっくり考えて、小さな一歩を踏み出してみれば、
それまでとは全く違う光景が広がっているかもしれない。
それまでとは全く違う喜びが待っているかもしれない。
この本はその一歩のきっかけを与えてくれるのではないだろうか。
踏み出したのだけれど、何かが違うように感じている人にとっても、
この本は大きな勇気を与えてくれる。
踏み出して、なんとかうまく回っている人にとっても、
心の支えになると思う。
何しろ、実践している人がいるのだから。
実践している人がおっしゃっているのだから。
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