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映画評 「えんとつ町のプペル」 [映画評]

本作は、キングコングの西野さんの絵本「えんとつ町のプペル」が原作。
煙に覆われた町を舞台とした、えんとつ掃除人の少年ルビッチと、ゴミから誕生したゴミ人間プペルの冒険物語である。
西野さんは製作総指揮と脚本を担当していて、思いの詰まった熱量の高い作品になっている。

私は気合の入った映画が好きなので好感を持って観たのだが、作品としてとらえると、もう一押し二押し、いや三押し四押し欲しかった。
まず、設定に既視感が満載である。
よくある話だなあ、なんか見たことあるなあ、と感じる人は少なくないと思う。
クライマックスに向けての流れもよくある展開であり、ワクワクはしづらい。
また、冒険譚が見るものを引き付けるためには、悪役のキャラが立っていなければならないのだが、本作ではそれがまったくできていない。
あの人たちは、何を守っていたのだろう。
えんとつ町の成り立ちも「?」。
父親との関係もステレオタイプだし、
友達たちや町の人たちの行動も摩訶不思議。
その他、突っ込みどころは満載。

もちろん、エンターテインメントとしてのアニメ映画なので、
なにもかもをきっちり描き切る必要はないのは十分に承知しているが、
物語の核になる部分の説得力がなんとも残念であった。

本作に関するネット評を見ていると、
西野信者的な方とアンチ西野的な方がせめぎ合っているように思える。
★を5つ付ける方がいる一方、
★1つでももったいないという方もおられる。
結果、平均して★3つくらいになっている。
私は信者でもアンチでもないが、平均された結果として出た点数がなんとなく頷ける。

声の出演は、プペルに窪田正孝さん、ルビッチに芦田愛菜さん、スコップに藤森慎吾さんなど。
窪田さんはちょっとやり過ぎ感があったが、芦田さんはさすが。
藤森さんのしゃべりは勢いがあって楽しかった。

途中、減価する貨幣についてのエピソードが出てくる。
地域通貨に関心を持っている人には、すぐにピンとくる話である。
しかし、まったく掘り下げてはもらえず、宙ぶらりんにされてしまった。
こちらも残念だった。

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