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おそらく京都市だけではない財政危機 [公会計]

京都市が、
将来、企業の破産にあたる「財政再生団体」に転落する恐れがあるとして、
5年間で約1,600億円の収支改善に取り組むと発表された。

このことについての街の声として、
「それまでに打つ手はあっただろうに」
「トップの連中は今まで何しとったんやろって思いますわね」
「遅いですよね」
などといった言葉が紹介されていたが、
いやいや、まだ京都市は破綻したわけでもなんでもない。
しっかり危機的状況を公表し、市民と事態を共有しながら取り組もうとされているのである。

京都というと何やら華やかにイメージだが、特有の事情があるらしい。
財政難には、以下のような理由が挙げられていた。

・学生と神社仏閣が多く税収が少ない
京都市は大学生などの若年層や高齢者層が多く暮らしていて、市民一人あたりの税収入が他の政令市よりも少なく、
神社仏閣や木造建築が多いため、固定資産税も少ない、
というのである。
しかし、学生が多いことは活力の面ではプラスだろうし、
神社が多いことが観光客を引き付けてもいるので、一概に財政的に悪いばかりも言えない気がする。
また、これらは今に始まったことではないだろう。

・手厚い行政サービス
保育料の軽減や医療費の助成のほか、
70歳以上の市民に市バスや地下鉄が乗り放題になる乗車証を配るなど、
独自の手厚い行政サービスを長年行ってきたのだそうだ。
それらが限界に来たということだろうか。

・地下鉄東西線
1997年に開業した地下鉄東西線の建設に約5500億円かかったが、
利用客は伸びず経営を維持するために市の一般会計から補てんしているのだという。
大都市ならではの支出であり、重荷になっているのだろう。

・新型コロナの影響
コロナの影響を受けたのはどの自治体も同じだが、
日本一の観光都市である京都のダメージは特に大きいのだと思う。
コロナ前にインバウンドの恩恵は受けていただろうが、
今回のような急激な落ち込みを事前に予測するのは不可能であり、
備えがなかったことをあげつらうのはフェアではないように思う。

門川市長は、
「財政再生団体に絶対に陥らない。特にこの3年を集中改革期間として全力投球していきたい」
とおっしゃられ、
改革案には
70歳以上の市民が安い料金で市バスや地下鉄を使える「敬老パス」の年齢引き上げや、
軽減してきた保育料を改定するといった住民サービスの見直しのほか、
市職員550人の削減も盛り込まれた。

京都、という超有名都市の発表であっただけに大きなインパクトがあるが、
財政危機に陥る可能性がある自治体は、ほかにいくつもあるだろう。
それをどのような形で公表するかという点に違いがあるだけで。

こうすれば財政危機が解消するといったわかりやすい処方箋はない。
景気の劇的な回復、それに伴う税収の大幅増、
といったことが、あると思う方がどうかしている。
現実にしっかり向き合い、
住民のみなさんと一緒に考えていくしかない。
地方自治体ならできるはずだ。

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