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映画評 「エゴイスト」 [映画評]

一般にエゴイストというと、
自己中心的な人、利己主義者、
といった意味になるだろう。
ではこの映画はエゴイストについて描いたものか、
若しくは登場人物の誰かがエゴイストなのだろうか。

主要な登場人物は3人。
鈴木亮平さん演じるファッション誌の編集者と、
宮沢氷魚さん演じる貧しい青年と、
阿川佐和子さん演じる宮沢さんの母。
この3人のうちの誰かがいわゆるエゴイストなのかと言えば、
そんなことはまったくない。
3人ともやさし過ぎるくらいにやさしい。
最初から最後までやさしい。
どこかで種明かしかどんでん返しがあるのかと思っていたが、
徹頭徹尾やさしい。
では、なにがエゴイストなのか。
それを考え、感じる映画なのだろう。

鈴木さんと宮沢さんがゲイのカップルを演じる。
激しい濡れ場もある。
鈴木さんは、相変わらず強烈。
今回は激しいというより繊細な役なのだが、説得力が半端ない。
宮沢さんは「his」という映画でもゲイの役を演じられていた。
以前ならイメージの固定化を恐れるところだが、今は気にすることもないのだろう。
意外と、といっては失礼だがよかったのが阿川さんの演技。
非常に重要な役どころをしっかり演じ切られていて驚いた。

もう少し二人が惹かれ合うようになる理由やきっかけを丁寧に描いてほしかった。
また、いくつか突っ込みどころというか、腑に落ちない設定や展開があり、
何かの伏線かと思いきやなんでもなかった点がちょっと残念。
あと、もう少し短くした方がよかった気もする。

やさし過ぎるのがエゴなのだろうか。
自分を殺し過ぎるのがエゴなのだろうか。
タイトルの意味を考えながら観ていた。

ラストシーンで、はじめてほんのちょっとだけ我儘を言う。
このシーンが撮りたかったのかと思うと、ズシっと来た。
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