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参院選ではきちんとした議論を聞きたい [お役所内診断士]

参議院選挙が始まった。
衆議院選挙と比べるとイマイチ地味な感じもするし、「参議院不要論」なども語られるが、実は非常に大切な選挙である。なにしろ、解散がないだけに、議席が6年間も固定されてしまうのだから。
衆議院が優越する規定があるというが、法律は両方をとおらないと成立しない。いちいち、三分の二条項を使うわけにもいかない。民主党が野党であったころに、人事案件で停滞したのは記憶に新しい。

さて、鳩山元首相の退陣、菅新首相の就任で、民主党への信任選挙になるかと思われたのだが、菅首相の「自民党を参考に消費税10%」発言で、にわかに政策論争に火がついた。
菅首相の発言には、民主党内でも「手続きが不透明」「勇み足」などと批判が出ているが、批判される可能性がある増税論を、あえて選挙前に提示した潔さは素直に評価したい。
とはいえ、前にもこのブログに書いたが、菅首相が経済が得意であるとは思えないところは心配である。消費税の増税は正しい方向であると考えるが、使い方や手続きを間違えると、効果を出せない恐れがある。

また、大阪市内での第一声ではこんなことをおっしゃったという。
「去年、今年は高齢者の福祉にかかった費用は17兆円。消費税の国の分は7兆円だから差額は10兆円。この不足分を赤字国債で賄っている。赤字国債で埋めていくことが5年、10年先まで持つのかが私たちに問われている」
もちろん、街頭演説であまりややこしい話はウケナイだろうが、現段階の消費税は目的税ではないから、福祉との差額を直接的に比較するのは正確な議論ではない。赤字国債は、総枠として税収が不足しているから発行しているのであり、こういう基本的なところは、丁寧な説明をお願いしたい。

ただし、野党の方々の発言にも「おや?」と思わせるものが多い。マスコミに載るのは断片的なものだけなので、全部聞いたらきちんとしたものかも知れないが、以下に引用するような発言は、ちょっといかがなものかと思ってしまう。

「財政再建のための増税は許されない」
→え?どうして?

「消費税増税で新たに作られる財源のほとんどは大企業減税に使われる」
→財源が減税に使われる?補填されるという意味とは思うが、比較する対象としては適当と思えない。また、法人税減税は、大企業だけに恩恵のあるものではない。

「10%に上げれば中小企業、零細企業の経営は成り立たない」
→なぜ?

票を獲得するために、ある程度情緒的な物言いになってしまうことはやむを得ないとは理解している。
しかし、事実誤認につながるような発言は差し控えていただきたいと思う。
是非、この建設的な議論をお願いしたいと切に思う。
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