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映画評 「おおかみこどもの雨と雪」 [映画評]

「おおかみこどもの雨と雪」を見た。

よかった~。
本当に、よかった。
高まり続けてきた期待が失望に変わらないで、本当によかった。
映画を面白く見るための鉄則は、期待し過ぎないことである。
映画ファンの私が言うのもなんだが、大抵の映画はつまらない。
だから、あまり期待して見に行くと、大きな落胆につながってしまう。
ただ、今回の細田監督の作品には、期待しないわけにはいかなかった。
なにしろ、「時をかける少女」「サマーウォーズ」を連発された後なのだから。

今作も、面白かった。
いい作品だった。
3作続けて、「傑作」と呼べるレベルの作品を作られた細田監督に、心から敬意を表したい。

見に行く前に心配していたのは、ジブリ作品との類似性だった。
題材といい、絵といい、これではジブリになってしまうのではないかと不安だった。
しかし、見ている途中で、ジブリに似ていようがいまいが、どうでもいいことだと思えるようになった。
田舎暮らしの光景はトトロに共通するところがあるし、おおかみに変身するところは、もののけとつながるところもある。
だが、ジブリの劣化コピーにはなっていない。
むしろ、それを上回るようなレベルに達している。
そうであれば、似ている似ていないは気にする必要がない。
いいか、悪いか、それだけである。
そして、今作は、いい。

ストーリーは、荒唐無稽である。
ありえない展開が続く。
しかし、映画の枠組みのなかで理解できないレベルまでは逸脱しない。
いくつか腑に落ちないところもあり、突っ込みたくなるところも少なくはないのだが、そこをくどく描くより、ばっさり削ってしまう方が演出的には効果的であると判断されたのだろう。
そして、それは成功している。

特に、子を持つ親にとっては、ある意味、キツイ映画である。
いい恋愛映画のように「胸がキュンとなる」というのとは違い、「グワンと腹にこたえる」という感じだった。
親は子を離さなければならない。
育てること以上に、それが大切なことなのかも知れない。

映画を観終わった後、しばらく、ちゃんと歩けない感じになった。
それくらい、応えた映画だった。
「サマーウォーズ」的な冒険活劇を楽しみにしていると肩すかしかも知れないが、いい映画をご覧になりたいのなら、ぜひお勧めである。
ただ、小さな子供には少しきついかも知れない。
劇場内でも、退屈している子供たちが何人かいた。
親は、必見である。
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葦立 茂蔵

 サマーウォーズは、去年だったか、訳あって出社しなくなった元部下の女の子に教わって見ました。確かに荒唐無稽というか冒険活劇でした。この作品は、メンタルで出社できなくなった彼女に勇気を与えてくれた作品のようでした。
 映画では旧武家の家を守るおばあさんの凛とした姿が印象的でした。元部下の彼女も会社生活で疲弊しただけでなく、私生活でも旧家を守る立場で苦労しているようでした。
 会社は既に辞めてますが、私生活で旧家を守って頑張っている事を願っています。
by 葦立 茂蔵 (2012-07-24 21:31) 

淋

サマーウォーズは劇場で2回見た後、ビデオでも何回も見ました。
おおかみこどもは、何回も繰り返して見るタイプの作品ではなく、深く胸に刻む映画かと思います。
by (2012-07-25 04:02) 

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