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地方公務員のフリーエージェントが広がれば面白い ~武雄市年俸制導入の報で思う~ [お役所内診断士]

一般的にはどのくらい浸透しているのかよくわからないが、少なくとも公務員の間では、佐賀県武雄市は非常に知名度が高い自治体である。
樋渡市長という、発想力発信力行動力に富んだトップのもと、次々に新しい取り組みを実践されている。
図書館の指定管理者にTSUTAYAを起用したことで大きな注目を集めたが、それ以外にも、市HPのフェイスブックへの全面移行、学力テストの結果の公表などなど、様々な取り組みをなさっている。
そして、ここで発表されたのが、「年俸制公務員制度の導入」である。

樋渡市長のブログから一部を引用すると、以下のような内容である。
「武雄市役所では、来年度の後半(10月)から年俸制職員制度を導入したいと思っています。」
「私が言うように部長級(理事)1本になるか、副市長が言うように、理事と課長級(参事)にするのか、これから詰めていきますが、いずれしても、年俸制度にします。3年契約にして、目標に比べて、実績が上がらなければ、即降格。実績が上がれば、契約更改。」

年俸制の狙いについては、次のように書かれている。
「年功序列、終身雇用の悪いところは、人材を流動化させない。すなわち、固定化が進み、組織の躍動感が失われてしまうこと。もちろん、全員が年俸制度になる必要は全く感じないけど、その選択の幅を広げる、多様性を確保することは絶対に必要だと思う。」
「年功序列、年俸制、新規採用、IUターン採用、任期付き職員制度など、いろんなパターンがあったほうが、絶対に良い。」

地方公務員に年俸制がなじむのかどうかなど、いろいろ議論はあるのだろうが、私は面白い取り組みだと思う。
樋渡市長は、さらにこんなことも書かれていて、この部分にも大いに共感する。
「他の自治体でもこの動きが広がれば、年俸制職員同士のフリーエージェント制度が広がるかもしれません。」

私も、かねてから地方自治体間の職員の流動性が、もっともっと高まればいいなと考えている。
一部の自治体間において交換派遣といった仕組みがあるが、そういうものではなく、職員と役所の希望が合致したら、短い期間でホイホイ渡り歩けるような感じで。
実際、アメリカの地方公務員は、そんな感じでいろいろな自治体で働いているようだし。

この仕組みは、働く側にも自治体側にもメリットがあると思う。
働く側はやりがいを得られるし、役所側は必要な人材を獲得できる。
もちろん、制度設計には工夫が必要だと思うが。

私も、地方公務員の端くれとして、FA宣言した場合に、他の自治体から声がかかるような人間になりたいと思う。
そうした緊張感が生まれるのも、年俸制のプラス面と言えるかも知れない。
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吉田豊昭

評価はどうするのですか?
石原慎太郎さんが、維新の会の代表就任で、東京都は複式簿記に変えたから、行政が数値で評価出来るようになり、財政改革に成功した。さらに、石原さんは、今までの政治家で、誰か会計制度の改革に言及した人が居ますか?と、インタビュアーに質問されましたが、返事無し。政治家だけでなく、インタビュアーすら、公的会計の不備には気が付いていない。
 武雄市の会計制度が単一仕訳なら、まともな年俸制度の評価のできないのでは?

一般的な(大部分の)公的会計の現状について
【現状の公的会計は、業績評価と資産評価がなされていない】
 行政の業績評価を会計数値で表現しなければ、行政の評価は行えない。
 しかるに、業績を利益に評価して会計計上することが行なわれていない。
 また、自治体が保有する資産についても、正しく資産評価されていない。

【現金主義/単一仕訳の会計制度では、不正確で、会計事務効率も悪い】
 現状は、現金主義だから、予算は年度内に使い切らなければならないと言う、悪慣習が定着して、無駄な行政の原因の1つになっている。
 また、現金を支払った時に会計処理がなされるから、実際の取引が会計計上されるタイミングが遅くなり、実態を正しく反映できない。
 だから、発生主義に変えて、実際の取引と会計処理のタイミングを一致させ、数値の信頼性を確立すべきと思います。
 また、単一仕訳も会計処理を非効率にしています。

 民間企業で運用されている複合仕訳伝票で、会計のスピードアップを図るべきです。

【事業の効果を収益として、損益計算書に計上する】
 前述の通り、現状の公的会計は、損益計算書が無いから、業績評価ができない。
 上司の、感や心証で、業績査定が行われて、客観性が乏しくなる。
 上司の顔色を伺い、仕事の成果は重要では無い。
 これでは、まともに仕事ができない。

【行政が所有する固定資産の正当な評価を行う】
 また、行政の結果構築された資産や事業の価値の評価もなされていない。
 つまり、資産がどれだけの利益を生むのか?生産性の応じた正当な評価が必要です。

 現状の公的会計には、行政の損益計算書と貸借対照表が無い。
 あるのは、経費を効果に関係無く、使い切ることに資する経費予算・実績対比表だけ?
 これでは、有能な公僕に仕事をさせない仕組みとしか言いようがない。

【民間企業の会計見直しは、国際会計基準適応】
 今、民間企業では、国際会計基準(IFRS)対応に追われています。
 国際会計基準に対応する為に、既存会計システムの以下の項目の変更を検討しています。
 ①「複数基準への対応」、②「収益認識」、③「固定資産」、④「研究開発」の四つ、

 これを地方自治会計に当てはめると、

 ① 複数の会計基準とは、
   住民に説明する会計基準と、国や県へ報告する会計基準と、
   議会へ報告する会計基準と、役所内における業績評価の会計基準の
   4つ位の会計基準対応の必要性が考えられる。

 ②収益の認識とは
   収益認識の為には、事業の収益を計上できる会計制度に変えなければなりません。
 ③固定資産とは
   登録している固定資産が、どれだけの価値を生んでいるか?
   毎期、正しく再評価されなければなりません。
 ④研究開発とは
   研究開発に要した費用を繰り延べ資産計上して、
   成果を固定資産として、価値評価して資産計上しなければならない。

 以上の会計制度を整備して、樋渡市長さんの政策を職員が執行している状態を「見える化」して、

 行政の効果が最大になるようにコントロールする。

 さらに、その成果を、市議会や市民に行政を正しく評価してもらう、新しい時代の武雄市行政の扉を開くことが必要と思います。
 この会計制度の、運用無くして、年俸制度を運用しても、結果は正当に評価出来ないのではありませんか?
 まず、会計制度改革を為されるべきでしょう。
 それが出来て始めて地域主権を目指せると思います。
 樋渡市長さん!私に、やらせて頂けませんか。
by 吉田豊昭 (2013-01-08 21:23) 

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