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書評「暴露 スノーデンが私に託したファイル」 [読書記録]

グレン・グリーンウォルドさんの「暴露 スノーデンが私に託したファイル」を読んだ。
グレン・グリーンウォルドという名前は、日本ではあまり知名度が高くないが、アメリカの体制を厳しく批判するジャーナリストとしてよく知られた方らしい。
そのぶれない姿勢が信頼されて、エドワード・スノーデンさんがアメリカ国家安全保障局(NSA)による情報収集を告発する際に、彼からスポークスマンに選ばれた。

スノーデンさんによる告発は、世界に大きな衝撃を持って迎えられた。
衝撃のニュースから1年以上が経ち、どんな内容だったかお忘れの方も多いと思うので、その一端を改めて示してみよう。

・全世界でのインターネット傍受
 NSAは、アメリカ国内のみならず、メールやチャットを含むすべてのネット情報を傍受している。
・IT事業者の協力
 傍受には、マイクロソフト、ヤフー、グーグル、フェイスブックなどの大手企業が協力している。
・同盟国へのスパイ活動
 NSAは、日本など同盟国を含めた38カ国の大使館に対しても盗聴を行っている。

などなどであり、やりたい放題の感がある。
自由な空間としてのネットに対する希望、国家権力に対する最低限の信頼などが、すべて踏みにじられている。

スノーデンさんによる告発は、勇気あるものとして賞賛される一方、国家機関の職員として許されるものではないとの強い批判もある。
また、NSAによる情報収集についても、テロの恐怖にさらされているアメリカとしては、ある程度やむを得ないものと擁護する意見もある。

私は、スノーデンさんの告発は大いに意味があるものだったと思う。
自由と民主主義を謳うアメリカという国の真の姿を知る上でも、大変重要であると感じる。
自国の利益と考えることのためならば、なんでもやるのだろう。
他国の自由と民主主義を冒しても。

スノーデンさんによれば、この告発は、オバマ大統領への失望も大きな引き金になったという。
大統領が変わればアメリカも変わるのではないかという淡い期待があったのに、オバマ大統領はむしろ情報収集を進める側になってしまい、これではどうにもならないと感じたのだという。
外交面も含め、オバマ大統領に失望した人は、スノーデンさんだけではないと思う。

こうした告発があって、少しはやりにくくなった面はあるかも知れないが、アメリカによる情報監視の実態はほとんど変わらないだろう。
日本としては、そして個人としては、そうしたことが行われていることを前提として振る舞うしかない。
ネットを通す限り、我々の情報は、アメリカには筒抜けである。
国家の情報だけではなく、企業の機密さえも。

本は、
前半が、著者とスノーデンさんの出会いに関するサスペンス的な要素もあるドキュメント
後半が、暴露された内容
と大きく分けられる。
読み応え十分で、アメリカによる情報政策を知るうえで、お薦めの一作である。

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