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フォルクス・ワーゲンの「素晴らしい結果」 [経済を眺める楽しみ]

ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が発表した2015年の世界販売台数は、前年比2%減の993万600台で、13年ぶりに前年を割り込んだ。
ここ10年間で、販売台数をほぼ2倍に増やしてきたが、新興国経済の減速に加え、世界規模に膨らんだ排ガス不正スキャンダルにより、伸びにストップがかかった格好である。
これにより、15年の自動車市場は、販売台数1000万台を超える見通しのトヨタ自動車の4年連続首位が確実になった。

この数字をもって、
「VWの売上が急ブレーキ」とか
「VWの独り負け」
などという記事も掲載されているが、果たしてそうだろうか。
あれだけの不祥事を起こしておいて、わずか2%減。
私には、ちょっと信じられない健闘ぶりである。

VWのミュラー会長兼最高経営責任者は声明で
「ディーゼル問題やいくつかの地域での困難な状況の中、ほぼ1000万台を販売できたのは素晴らしい結果だ」
と述べたというが、本当にそのとおりだと思う。
個人的には、不正が発覚した9月以降、1台も売れなくてもしょうがないと感じていた。

日本では前年比約19%の減、12月は前年比39%減など大幅な下落となっているが、中国やヨーロッパではあまり影響が出ていないようだ。
不正は不正として、これまで積み上げてきた信頼の貯金があるのだと考えられる。
若しくは、あれくらいのことはあまり気にしないのか。

今回発覚した不祥事は、一人や二人の不届き者の一時的な不正ではなく、組織ぐるみでの継続的な不正であったのに。
第三者的な位置から見ている私からすれば、この会社のやってきたこと、やっていることは、少なくともしばらくの間は全く信じられないのだが、そう感じる人ばかりでもないということなのだろう。

日本でも、東芝の会計不正が波紋を広げている。
しかし、「たちの悪さ」という点ではVWが上回っていると思う。
VWに何の恨みもないのだが、あんなことをやって2%減では、世の中的に示しがつかないなどと感じてしまう。

消費者の「買わない」という行動が、企業の暴走を止める要因になると思う。
企業側に
「どうせすぐ忘れる」
「気にする奴はそんなに多くない」
「隠しておいた方が、合理的」
などと思われたら、不正の抑止力にならない。
正直な企業には称賛を、
そしてそうでない企業には厳しいお灸をすえることが、企業に正しい選択を迫ることにつながるのではないだろうか。

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