「ハガレン」「氷菓」の実写化は不安だらけだが やってみなくちゃわからない

人気漫画を実写映画化した「テラフォーマーズ」が大コケしているようだ。
伊藤英明、山下智久、山田孝之、小栗旬、武井咲といった人気俳優陣を起用し、監督も話題作を多く提供している三池崇史さん。
ヒットが約束されているようなスタッフだが、公開前から原作の愛読者のみならず、評論家、映画ファンから酷評を浴び続け、興行成績でも大惨敗を喫しているようだ。

漫画原作の実写化映画化が続いている理由としては、ストーリーがしっかりしている上に、宣伝しなくてもすでに認知されているということがあるのだと思うが、はずれも少なくない。
特に、ＳＦ物は難しい。
「進撃の巨人」のハラホロヒレハレぶりも記憶に新しい。

そんななか、「ハガレン」こと、「鋼の錬金術師」の実写映画化決定の報が届いた。
とっくに連載が終了している作品であり、アニメによるブームも沈静化していると思われる今、なぜ実写映画化なのか。
コアなファンが多い作品であると思われるなか、あえて火中の栗を拾う形になりはしないか。
そんな心配がすぐに浮かぶ。

しかし、監督が曽利文彦さんと聞いて、期待してみようと思った。
なんといっても曽利さんは、私の大好きな映画「ピンポン」を撮られた方である。
報道によれば、曽利監督にとって、「ピンポン」以来、初めて自ら企画した作品だとのことであり、
「このすばらしいストーリーを映画化するのが自分の悲願でもありますし、このために生きていると言っても過言ではない」
とまで話されているという。

ハガレンファンの多くが、実写化は難しいと思っているだろうし、やめてもらいたいと感じているだろう。
主要キャストは、誰がどう演じてもイメージに合わないだろうし、鎧の体になっているアルをどのように描くのか、不安が大きいのが実際のところだが、楽しみに待ってみよう。

さらに、「氷菓」の実写化も取りざたされている。
こちらについては、キャストなどの正式発表はされていないが、ロケ地でのエキストラ募集などによってほぼ確実視されている。

「氷菓」は、今をときめく人気作家米澤穂信さんの「古典部シリーズ」をアニメ化したもの。
もちろん原作のよさが基盤であるが、アニメ作品としての素晴らしさは特筆ものであり、私も大好きである。
思い入れの強いファンが多い作品であり、実写化については、悲鳴のような声が上がっている。

私も正直なところ、曽利監督の「ハガレン」には期待してみたいと思うが、「氷菓」の実写化には成功のイメージがわかない。
あのアニメを超えられるとは、とても思えないからである。
できれば、実写ではなく、完全オリジナルストーリーによるアニメでの映画化をお願いしたい。
とは言うものの、もし本当に決まっているのなら、いい作品になるように心から祈りたい。
どうせダメだと決めつけて、ほら見たことか、と言ってみてもむなしいだけである。

大切な作品を汚されたくないという原作ファンの気持ちはよくわかる。
しかし、決まったのなら応援するしかない。
奇跡が生まれることを願って。