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自治体の人材確保に必要なのは倍率を上げることではないのでは [お役所内診断士]

日本経済新聞の首都圏版に
「就活 公務員離れ続く」
との記事が掲載された。
安定志向と言われて久しい就職活動だが、このところの売り手市場で傾向も変わり、自治体が必要な人員を集めるのが大変な時代になったのかと思わせる見出しだが、内容を読むとまったくそんなことはなかった。

なにしろ、
東京都の申し込み倍率は12倍、
神奈川県は14倍、
埼玉県は10倍、
という狭き門であるらしいのだから、公務員離れとはほど遠い。
なんでも前年より減ったとのことなのだが、定員の10倍以上の申し込みを受けておいて、これをさらに増やしてどうなるものなのだろう。

ひょっとしたら、申込者が多ければ多いほど優秀な人材を確保できる可能性が増す、という発想なのだろうか。
一見、100人の募集のところに500人の応募より1000人の応募の方が優秀な人材を確保できそうに思えるが、問題は応募者の質である。
定員割れしている状況というのならともかく、これだけの倍率がありながら、前年より減ったから何とか人数を確保したいという発想がよくわからない。

自治体は、倍率を上げることを考えるより、限られた人数でいいから、来てほしい学生に応募してもらえるように努めるべきであろう。
意欲のある学生、将来性の高い学生、地域を変えてくれる可能性を持った学生を発掘し、そうした人にこそ来てもらうようにしたい。
その結果、難易度が上がり、どうせ受からないと思った人が受けなくなって倍率が下がったとしたら、それはかえっていいことだと思う。

問題を簡単にすることで応募者を集めようとする傾向も一部見られるが、誰でもいい、ということなのだろうか。
そうではなく、目をつけた学生を在学中から育てていくとか、優れた教授の指導を受けた学生を囲い込むとか、数ではなく精鋭を集める努力をこそするべきだろう。
自治体は、応募者の倍率ではなく、いかに戦力となる学生を確保できたかということでこそ競い合うべきである。

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