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映画評 「ズートピア」 [映画評]

ディズニー映画「ズートピア」が絶好調である。
公開されてから2か月ほど経つが、いまだに客足が衰えない。
もちろんディズニーブランドの強みもあるが、引き続きお客さんが入り続けているのは、口コミが広がっているからと考えるのが自然であろう。
正直なところ、私はディズニーの映画はあまり好きではないのだが、この流れに乗って観に行くことにした。

さすがによくできているなあ、というのが素直な感想である。
脚本は練りに練らているし、
世界観も、
それを実現する映像もすごい。
本当の悪役は途中から読めてしまうし、
予定調和的な展開でもある。
それでも、万人受けする映画を作るという制約の中で、きっちりとプロの仕事がなされていると思う。
私は吹き替えで観たのだが、主人公を演じた上戸彩さんの声もしっかりはまっていた。

ただ、「アナ雪」ほど女の子受けする話でもないのに、なぜここまでヒットするのかはわからなかった。
「アナ雪」より突っ込みどころの少ないストーリーだったが、逆に言えばとんがっている部分も少なかったということである。
設定に頼った感じもあり、それぞれの動物の特徴をギャグにしているのは、わかりやすくはあるし、くすぐられはするが、驚きはない。

とは言いながら、同時期に公開された「名探偵コナン」と比べると、圧倒的に「ズートピア」の方がいいと言わざるを得ない。
日本の映画ファンとしては悔しいし、コナンファンの方々は心外でもあろうが、映画として並べた場合には相当なレベル差を感じる。

「ズートピア」は、才能のある人間たちが集まり、
世界のマーケットをはじめから見据えて、
細部までこだわりぬいて作り上げた完成された商業製品という感じである。
一方の「コナン」は、
それにかかわる限られた人間が、
毎年一作作るというルーティンの中で、
それなりのものとしてやっつけたという感じを受けてしまった。
闘っている土俵も違うし、覚悟も違う。
コナンにもいい作品があることは承知しているが、当たりの出る確率は低い。
ディズニー作品は、外さない。

クール・ジャパンなどと自分で自分を褒めている状況で、アニメはその筆頭だが、世界中で観られまくっているディズニー映画と比べたら、日本のアニメ映画の世界市場での存在感は非常に低い。
かけている金が違うと言えばそれまでだが、それを言い訳にしたくない。
アニメ映画は、日本が最高峰であってほしいし、興行成績では負けても作品の質では負けたくないところだが、「ズートピア」を観て手強さを再認識した。

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