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今時 貿易赤字を敵視する政権の誕生? [経済を眺める楽しみ]

選挙前、トランプ大統領の誕生は、市場にとっては悪夢だと言われた。
政策の予見可能性が低くなるうえ、
自由貿易を否定するような発言を繰り返されていたから、
それも当然だろう。
しかし、実際に当選が決まってみると、
いやまあ、でも、
アメリカの雇用を増やすのは悪いことではないし、
財政出動は景気にいいし、
そもそも成功したビジネスマンなんだから案外経済政策はしっかりやるでしょう、
というマイナスからの反動的な期待が広がり、株価は一気に上昇した。
もちろん、アメリカの景気が良くなっていることが背景にあった。
だが、政権誕生前の蜜月は、そろそろ終わりかもしれない。
トランプ時期大統領の記者会見を聞くと、何やら暗澹たる気持ちになる。

会見を受けて、日米で失望売りが出たが、特に下落が激しいのは日本。
円が上がり、株が下がるという展開になった。
それはそうである。
トランプ氏は、貿易赤字相手国として中国、メキシコと並んで日本を名指ししたのだから。

自由貿易を先導し、世界経済を牽引してきた国の考え方としてちょっと理解しかねるが、トランプ政権に入られる方々は、どうやら貿易赤字は「損」だと思っておられるようだ。
なんでも、次期商務長官となるロス氏と国家通商会議を率いるナバロ氏が
「赤字削減がGDP成長率を押し上げる」
と唱えている影響が大きいのではないかとのことである。

確かに、GDPの算出では、輸出はプラスに輸入はマイナスに計上されるから、直感的には損をしているように見えなくもない。
しかし、アメリカの貿易赤字は今に始まったことではなく、ずっとこの状況の中で成長してきた。
旺盛な個人消費がアメリカ成長の基本であり、その消費を満たすために輸入がなされてきたのであり、一方的に赤字を押し付けられてきたわけではない。
報道によれば、クリントン民主党政権時代の財務長官で、経済学者としても知られるサマーズ氏は、こうしたトランプ政権の主張を
「ブードゥー(おまじない)経済学をはるかに超えている」
と厳しく批判されているという。

しかし、理屈としてどう、経済学的にどう、実際の国民生活的にどう、
ということではなく、
「とにかく貿易赤字はイヤなの」
という感情論だけで来られるとしたら、もうどうしようもない。
世界にとって、特に日本にとってはひどい影響が出かねない。

ここまで来ても、実際の政策で自由貿易を否定するようなことはありえないと信じたいが、常識的な発想で考えていては対応が遅れてしまうのかもしれない。
道理に反すること押し通せば、必ずしっぺ返しが来るものとは思うけれど。

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