SSブログ

年金運用の黒字は朗報だがリスクも広がっている [公会計]

2015年度から2016年の4-6月期にかけて、株価が低迷した時期があった。
その当時は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による公的年金の運用も苦戦し、5兆円もの損失が発生したこともあった。
これについては、民進党が、
「年金損失『5兆円』追及チーム」
を発足させ、厳しく追及する姿勢を示された。

しかし、株価というものは上がったり下がったりするのが常である。
その後は株価が持ち直し、黒字を確保するようになった。
特に、2016年10~12月期は、10兆円を超える黒字だった。
2017年4-6月期も5兆円規模の黒字が見込まれている。

年金での運用が黒字になることは、国民にとって大変めでたいことである。
この運用が毎年兆単位で黒字になるのなら、年金問題は解消されるとまで言っていいかもしれない。
ただ、運用額が膨れ上がっていることで、新たな問題も生じている。

現状、GPIFと日銀を合わせた公的マネーが、東証1部上場企業の4社に1社の実質的な筆頭株主となっているという。
このことが株価を下支えしている面はあるが、市場機能を損なってはいないか懸念される。
いい会社の株は上がり、悪い会社の株は下がるのが当然であり、公的マネーの規模が大きくなり過ぎると、その当たり前の機能が阻害される恐れがなくはない。

また、公的な資金での運用額がここまで大きくなると、売り時が難しい。
上がった株も、売らなければ利益が確定しないが、性質上売り逃げというわけにもいかないだろうし、売り方によっては相場を壊すことにもなりかねない。

GPIFによる運用が利益を上げることは素晴らしいことなのだが、手放しで喜んでばかりもいられない。
損失が出たときに「それ見たことか」と責任を追及するより、こうして利益が出ているときにもしっかり運用の仕方を考えていきたいものである。

nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0