映画評 「斉木楠雄のΨ難」

まあ、いいおっさんがわざわざ行かなくてもいい映画なのかもしれないが、「斉木楠雄のΨ難」を観た。
これで「さいきくすおのさいなん」と読む。
超能力者、サイキックを主人公とするナンセンスギャグ漫画の映画化である。
実写版の「銀魂」に感銘を受けたので、福田雄一監督の仕事を確認してみたくなったのと、予告編に惹かれたのと。

映画は面白かったのだが、想定の範囲内。
同じテンポ、同じパターンの笑いの連続なので、ところどころクスリとはするものの、爆笑にはつながらず。
銀魂にあった熱さはもちろんなく。
これはこれで、とは思うものの、せっかく実写化するのだから、もっと別の面が見たかった気はする。

主演は、予告編で自ら「実写化出過ぎ」と言っていた山崎賢人くん。
確かに最近だけでも、「氷菓」「ジョジョ」「一週間フレンズ。」「四月は君の噓」と、まさに立て続け。
映画業界の人材不足や企画の貧困が嘆かわしくも感じられるが、ときに「ヒロイン失格」のような傑作も生まれるから、全否定もしたくない。
共演は、橋本環奈ちゃん。
銀魂での神楽ちゃん役に続き、福田監督作品に出演である。
そして今回も変顔のラッシュ。
最初はインパクトがあっても、こう続けられると・・・。
新井浩文さん、吉沢亮くん、ムロツヨシさんらは、楽しそうに演じられていて、存分に盛り上げていた。

あまり期待をせず、山崎賢人くんを観に行く、といったつもりで映画館に入れば、思わぬぶっ飛びぶりを楽しめるかもしれない。
橋本環奈ちゃんの可愛さを愛でに行くつもりで映画館に入れば、ギャップに萌えるかもしれない。
そうではなく、純粋に面白い映画を求めて行くと肩透かしとなる。
こういう映画は嫌いではないし、
こういう作品を実写化する企画も悪くないと思うが、
あまりいい意味ではなく、期待どおりだった。
つまらなくはなかったが。