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映画評 「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」 [映画評]

2015年のM-1グランプリでトップバッターを務めたのは、その後ブレイクした「メイプル超合金」だった。
2番手が「馬鹿よ貴方は」。
奇抜な二人組に続き、3番目に「スーパーマラドーナ」が出てきて、やっと漫才らしくなった、と言われた。(彼らも結構なものだが)

このところ、漫画原作のハチャメチャ系の映画を観ることが多かったので、「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」を観ながら、久し振りに脚本からしっかり作られた映画を観ている気分になった。
ハチャメチャも嫌いではないが、こういう作品もきっちり作っていかないと、蓄積されたものがなくなる。

映画は、
料理への熱い思いを忘れかけていた絶対味覚を持つ天才のもとに、かつて天皇陛下の料理番だった男が作り上げたという、“大日本帝国食菜全席”のレシピを再現する仕事が舞い込み、その謎を探っていくうちに・・・
というストーリー。
2002年と戦争中の様子が交互に描かれる。
満州国の様子が描かれるなど、映画らしいスケール感がある。

映画の途中、何か所か、ぐっとくるところがある。
また、作るシーン食べるシーンの双方で、料理というものの良さを感じた。
観た人の評価も高いようだ。
しかし、もっと遠くまで行けたのではないか、という感もある。

脚本はしっかりしてはいるが、大きなスケールで描くなかで、無理が目立つところも多い。
腑に落ちないところも少なくない。
ちゃんとした話であるだけに、ほころびが生じているところが非常に気になる。

監督は、「おくりびと」の滝田洋二郎さん。
しっかりした映画にされているが、もうワンパンチかツーパンチ欲しかった。
出演は、二宮和也さん、西島秀俊さん、宮崎あおいさん、綾野剛さんといった面々。
皆さん、しっかりと魅力的に演じられているが、脚本にもうひと押しがないため、演技が上滑りしている感は否めない。

「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」は、まともな映画がない、とお嘆きの貴兄にお勧めの作品。
パーフェクトの出来にはちと遠いけれど、そんな映画は滅多にないから、目線を上げすぎなければしっかり楽しむことができるだろう。
料理を作ること、作ってもらうことの幸せ、
食べることの喜び、
に出会えるはずだ。

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