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再び、日本経済新聞「大機小機」に反論  ~ 日経は黒田総裁がお嫌い? ~ [経済を眺める楽しみ]

先日、このブログで2月23日付の日本経済新聞コラム「大機小機」に反論させていただいた。
そのときのコラムの内容は、日銀が信用を失っているというもので、私はそんなことはない、と反論した。
そんな矢先、2月28日付の「大機小機」も、
「通貨の番人はどこへいく」
と題して、黒田日銀の金利政策への批判がなされていた。
はて、日経は、黒田総裁を叩くと決めたのかしらん。

今回のコラムでは、
日銀が低金利政策を続けるのは、ひとえに国の財政規律の緩みを糊塗することが目的で、国以外はすべて不利益を被っているかのように主張されている。
引用すると、
「長期金利をゼロに抑える政策の継続で得をするのはだれかを考えれば、答えは明らかになる。
企業部門は資金が余っており、これ以上貸出金利が下がっても利益は薄い。個人はゼロに等しい預金金利に苦しみ続けている。金融機関に至っては利ざやを稼げず、生きるか死ぬかの状況に追い込まれそうだ。
唯一助かるのが国だ。」
というのである。

さらっと書かれているが、果たしてそうだろうか。

まず企業部門について、「資金が余っていて、金利が下がっても利益は薄い」と書いている。
もともと、金利が下がったから企業の利益が出るというものではないから何を言いたいのかイマイチわかりにくいが、要は資金需要がなく、銀行から借りることはあまりないから、金利が低いことによる恩恵は小さい、ということなのだろう。
それにしても、企業としては、金利は低ければ低い方がいいに決まってはいるのだが。

個人については、「ゼロに等しい預金金利に苦しみ続けている」とおっしゃっているのだが、これは誰を想定されているのだろう。
借りる人にとっては金利が低い方が助かるのは自明である。
これから家を建てようという人や、進学に当たってお金を借りなければならないような人にとっては、金利は低い方がよく、助かっている人も少なくないだろう。
だから、低い金利で困っている人がいるとしたら、預金が多い人になる。
もし、金利で生活しようとすれば、3%の利率があったとしても、少なくとも1億円くらいの貯金は必要となるから、低金利を嘆いているとしたら、そうした大金持ちの方々だろうか。
大金持ちを喜ばせるために金利を上げる意味があるとは思えないし、そうした人たちが低金利で「苦しみ続けている」とも思えないが。

金融機関については、「利ざやを稼げず、生きるか死ぬかの状況に追い込まれそうだ」と書かれているのだが、日銀の低金利政策が利ざやの大きさに直接影響を与えていると考えておられるのだろうか。
貸出利率を上げられないのだとすれば、それはこのコラムでも指摘されているように、企業の資金需要がないからだと思うのだが。
また、生きるか死ぬかと書かれているか、前期の決算を見ると、みずほが6,000億、三井住友が7,000億、9,000億もの利益を上げている。
地銀の中には厳しいところもあるだろうが、それは日銀の低金利政策とはまた別の要因があるのではないかと思う。

低金利政策には一長一短があり、これを否定的にとらえる考え方があっても当然だろう。
しかし、日経に載るコラムは、もう少しきちんと事実を踏まえた内容にした方がいいと思う。
もちろん、字数に制約があり、またコラムだから多少盛って面白くしなければならないのはわかるけれど。

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