SSブログ

映画評 「ミスター・ガラス」 [映画評]

「シックス・センス」で衝撃的に映画界に登場し、
現代のヒチコック
と言われることの多いM・ナイト・シャマラン監督。
しかし、日本での知名度はそれほど高くないのが実情ではないだろうか。
ヒット作を連発しているというわけでもないから、それもやむを得ない。
どんでん返しが楽しい監督だが、駄作も作ってしまうタイプである。

私は、「シックス・センス」より、その次に公開された「アンブレイカブル」が好きだった。
以来、シャマラン監督作品は極力見るようにしている。
ガッカリすることも少なくないが、「アンブレイカブル」に免じて、期待値を保っている。

さて、本作「ミスター・ガラス」は、2017年に公開された「スプリット」という映画の続編であると同時に、
私の大好きな「アンブレイカブル」の続編でもある。
まったく別の2作品の続編を1本にまとめてしてしまうあたり、シャマランの面目躍如である。
予備知識無く観に行った「スプリット」の最後で、続編が作られ、「アンブレイカブル」と融合すると知らされたときはえらく興奮した。

ファンとしては絶対に失敗してほしくない作品だが、
かなり世界観の違う二つの作品の融合だし、
もともとかなり無理があるし、
シャマランだし、
ということで、スベる覚悟もして観に行った。
結果、
「ううむ、まあまあかなあ」
という感じだった。

タイトルどおり、今回の主役は「ガラス」と呼ばれる男。
サミュエル・L・ジャクソンが、ノリノリで演じている。
悪役なのだが、極端に体が弱い設定になっている。
「スプリット」で圧巻の演技を見せたジェームズ・マカヴォイも相変わらず飛ばす。
「アンブレイカブル」で主役だったブルース・ウィリスも健在だが、
スーパーヒーロー役をやるのは、さすがに年齢的にきついか。
この3人以外で目立っていたのは、アニャ・テイラー=ジョイという若手女優。
殺伐とした空間に潤いを与えていた。

多くのシャマラン監督作品でそうだが、今作も設定が陳腐。
登場人物の行動にも意味不明なものが多い。
しかし、この映画は、オールスター総出演のある種お祭りのようなもの。
ちっちゃいことは気にしない。
オチも、「はにゃ?」という感は否めないのだが、
「アンブレイカブル」ファンとしては許してしまおう。

しかし、「アンブレイカブル」も「スプリット」も観ていない人は、あまり楽しめないかもしれない。
また、両方を観て、とことん期待を高めてしまうと、それはそれで肩すかしかもしれない。

「ミスター・ガラス」は、シャマラン世界を楽しむ人へのプレゼント。
ツッコミどころ満載だが、
独特の時間の流れにゆっくりつかろう。
ゆかりのない人には、ちょっときついかしら。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 3

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。