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書評 「1964年のジャイアント馬場」 [ヨモヤ]

柳澤健さんの「1964年のジャイアント馬場」を読んだ。
著者は、「1976年のアントニオ猪木」を書いた方でもあり、豊富な知識と綿密な取材によるノンフィクション作品となっている。
単行本が出たのは2014年だが、ここで文庫化されたということで手に取った。
750ページを超える大部だが、馬場さんの本とあっては、素通りもできない。

馬場さんについてだから、いくらでも書くことはあるだろうけれど、それでも750ページはすごいなあ、と思って読み始めたのだが、かなりの部分が馬場さんと関係のないアメリカプロレスの話。
フレッド・ブラッシーや、バディ・ロジャースや、ルー・テーズや、カール・ゴッチといったレスラーの逸話に、多くのページを割いている。
プロレスファンなら興味深く読めるとは思うが、馬場さんについての話だけが読みたいという人は、我慢を強いられることになる。

この本の特徴の一つは、タブーとされているようなプロレスの内側を赤裸々に書いていること。
「それを言ったらおしまいだなあ」
ということが、ズビズバ書かれている。
純粋なプロレスファンが読んだら(そんな人がいるとしてだが)、大きなショックを受けてしまうかもしれない。
なので、プロレス好きでも、初心者的な人は避けた方がいいかもしれない。

これだけ分厚い本を書くのだから、馬場さんのことが嫌いではないだろうと思うが、馬場さんへの辛辣な言葉も述べられている。
力道山に至ってはケチョンケチョンである。
猪木さんについても言うべきことは言っているので、公平ではあるが。

プロモーターとしての馬場さんは評価されても、
プロレスラーとしての馬場さんはあまり評価されていない気がする。
この本を読むと、若き日の馬場さんのすごさがわかる。
素晴らしいレスラーだったのだ。
そして、その後、どうして猪木さんに押しまくられたのかも理解できる。

鶴田さんや三沢さん、天龍さんのこともしっかり語られているので、全日本ファンには嬉しい。
鶴田さんは厳しく書かれているが。

私は、物心ついたころから、馬場さんが好きだった。
猪木さんには、なぜか心が動かなかった。
馬場さんと、馬場さんがいた頃の全日本プロレスには、感謝の気持ちでいっぱいである。
辛いとき、三沢さんの入場テーマ曲を聴いて、自分を奮い立たせたりする。
あれやこれや、決して消えない感謝の気持ちでいっぱいである。
プロレスがあってよかった。
プロレスファンでよかったと思う。

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