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映画評 「半世界」 [映画評]

稲垣吾郎さんの、SMAP解散後初の主演映画としても話題のこの映画、
第31回東京国際映画祭コンペティション部門に出品され、観客賞を受賞したほか、
評論家筋の評価も上々である。

監督は、「北のカナリア」「亡国のイージス」などの阪本順治さん。
赤井英和さん主演の「どついたるねん」が初監督作だが、そのボクシングへのこだわりが最後のシーンで観られて、なんとなく頬がゆるんだ。

稲垣吾郎さんと長谷川博己さん、渋川清彦さんが小学校以来の幼馴染という設定で共演しており、この三人の関係を軸にして映画は進む。
映画「半世界」のキャッチコピーは、
「描いた世界になってる?」
である。
このフレーズからSMAPの名曲「夜空ノムコウ」の
「あのころの未来に僕らは立っているのかなあ」
を思い出す人も少なくないだろう。

子供の頃、若い頃に描いた大人になっている人など、ほとんどいないだろう。
映画の登場人物たちも、大きな違和感を覚えながら暮らしている。
しかし、それが自分の世界である。
どんなに小さくても、不完全でも、それが世界である。
子どもとのかかわりや、仕事の行き詰まりの描き方は、やや定型に過ぎる感はあるが、
それも世界と言えば世界だろう。

稲垣吾郎さんの芝居は悪くないが、どうしてもコミカルなイメージがある。
その意味で、三谷幸喜さんの「笑の大学」ははまり役だった。
本作では髭を生やされていることもあり、お笑いのマツモトクラブさんにも寄ってしまっていて・・・。
あまりシリアスになり過ぎるのもなんだが、この作品では感情移入が難しかった。
長谷川博己さんと渋川清彦さんはさすがの存在感。
池脇千鶴さんは、いつの間にかお母さん役がピッタリの女優さんになられた。

「半世界」は、苦い大人の姿を描いた力作。
しっかり作られた映画であり、見応えがある。
甘いハッピーエンドより、きちんとした映画を求める人に応えている。

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