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映画評 「天気の子」 [映画評]

新海誠監督の新作『天気の子』が、好調なスタートを切ったらしい。
最初の金、土、日の合計の興収は約16億4400万円。
15億円超というと、普通の映画ならこの段階でもうヒット作と言える。
出だしだけで比べれば『君の名は。』も上回っているというが、
『君の名は。』は驚異のロングランになった作品だから、さすがにそこまでいくかどうかはわからない。
とにかく、滑り出しは順調である。

今作を作るにあたって、新海監督にかかったプレッシャーは相当なものだったと思う。
『君の名は。』は大変なヒットとなったうえに、作品としての評価も高かった。
当然、次作もそれ並みか、それ以上のものを期待される。
もちろん、期待される喜びというものもあるだろうが、重圧は我々の想像を超えるものだっただろう。

『天気の子』を観ながら、新海監督はやり遂げられたな、と思った。
誰もが『君の名は。』との比較で語るだろうし、
期待が大きいだけにいろいろケチも付けられるだろう。
しかし、このレベルの作品を届けていただけたのなら十分だと思う。
娯楽作として、十分に楽しめた。

主人公の男の子の設定がちと弱かったり、
女の子の行動が「?」だったり、
オチがちとパンチ不足だったりと、
言いたくなることがないではないのだが、ちゃんと面白いのだから、まあいいじゃないかと思う。
原作、脚本から手掛けている作品であり、まさに新海ワールド。
ちょっと気色悪い感じがする箇所もあるのだが、
川端康成だって、太宰治だって、三島由紀夫だって、あの人だって、この人だって、
気色悪いところはある。
作家性が高まれば、そういうところが出てくるのは当然で、
それが好き嫌いを生む可能性はあるが、それでいいと思う。

十分に楽しめた『天気の子』であるが、
『サマーウォーズ』や、
最近で言えば『ペンギン・ハイウェイ』を見た後のような、
爽快感や突き抜けた感動までは届かず。
十分楽しめたが、そこ先までは連れて行ってもらえなかった。
そこまで望むのは酷とわかってはいるが、
新海監督はその先を期待される存在である。

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