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映画評 「ロケットマン」 [映画評]

フレディ・マーキュリーの半生を描いた「ボヘミアン・ラプソディ」に続いて、
エルトン・ジョンを描いた「ロケットマン」が公開された。
ハリウッドはちょっとした音楽映画ブームらしい。
映画と音楽はもともと相性がいいし、
60年代、70年代のアーチストを描けばオールドファンは喜ぶし、
新規ファンの開拓にもつながる。
しっかりした俳優さえ確保できれば、
そこそこのヒットは確約されたようなものなのかもしれない。

日本での人気はクイーンには及ばないが、
エルトン・ジョンも、とんでもなく売れたミュージシャンである。
歴代のセールスランキングで見ると、
ビートルズ、
エルビス・プレスリー、
マイケル・ジャクソン、
マドンナ、
に次ぐ5位らしい。

映画はエルトンの幼少期から描かれる。
しかし、なんとも暗い。
もちろん世界的な大成功を収めるミュージシャンであり、
駆け上がっていくときの爽快感はあるが、それでも暗い。
家庭環境も、取り巻く人たちも。
エルトン自身も。
エルトンと言えば、奇抜な衣装やド派手なパフォーマンスで知られるが、
それさえも悲しく映る。
もちろんそういう演出なのだが、そのトーンで統一されているのは観ている方としてはちとしんどかった。

しかも、オチが弱い。
「ボヘミアン・ラプソディ」における最後のライブシーンのようなクライマックスが用意されていないので、
もやもやした気持ちを引きずりながら映画は終わる。

主演のタロン・エジャトンさんは文句なしの好演なのだが、歌が本家と比べると弱い。
本家より弱いのは当たり前の話なのだが、一番盛り上がれる場所でもあるので、やはり残念。
いや、十分うまいのだが。

「ロケットマン」は、ちゃんとした映画。
栄光と、その影の挫折や葛藤をしっかり描いている。
しかし、そのために爽快感は犠牲にされている。
「ボヘミアン・ラプソディ」的な突き抜け感を期待すると、ちょっと拍子抜けかもしれない。

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