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映画評 「タロウのバカ」 [映画評]

今年最大の衝撃作、
今年最大の問題作、
といった評が並ぶ今作。
菅田くんが出てるから、
といったノリで観に行くと火傷する。
それも結構重めの。

なんでも大森立嗣監督がデビュー前からあたためてきたオリジナル脚本を映画化したものなのだそうだ。
それだけに、監督としてもいつも以上に気持ちを込めた作品になっているのだろう。
しかし、だからといって傑作になるとは限らない。
そこが難しいところである。
映画ファンとしては、力作が見たい。
そして、本作は間違いなく力作である。
だが、それが上手くはまっているかと言うと、正直なところそうは思えない。

最初のシーンからして、心底衝撃的である。
役者ではなく、生身の重度障害者の方が出演されている。
しかも、相当ヘビーなシーンで。
さらに、ダウン症のカップルもかなり重要な役どころで出演している。

こうした方を映すのは、一般的にはタブーだろう。
それも、この映画では、美しい存在としては描かれていない。
監督の覚悟が思い知れる。
しかし、繰り返すが、だからと言って、作品自体がいいものに仕上がったかどうかは別物である。
衝撃作、問題作だからといって、いい映画とは限らない。
もちろん、いわゆる「くその役にも立たない」と言われるような映画よりは、何万倍もいいが。

主人公は3人。
YOSHIくんが演じる学校に行ったこともないという少年と
菅田将暉くんと仲野太賀さんが演じる高校生。
若手俳優のトップを突っ走る菅田くんと、
演技派としての信頼厚い太賀さん。
しかし、その二人を押しのけてYOSHIくんがすごい。
私は全く知らなかったが、16歳のYOSHIくんは、モデルであり、ミュージシャンであり、アーティストであり、
といったマルチな才能を発揮している少年らしい。
この映画は、YOSHIくんの演技に引っ張られているところが多分にあった。

「タロウのバカ」は、大森立嗣監督による魂の一作。
軽い気持ちで観に行くのはお勧めできないが、
表現をがっちり受け止めてみたいという方は勇を振るって足をお運びいただきたい。
救いも何もないキツイ映画だが、
描きたいものが描かれている。

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