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映画評 「閉鎖病棟」 [映画評]

本作、「閉鎖病棟」の監督は、平山秀幸さん。
平山さんの作品を始めて観たのは、1995年の「学校の怪談」だった。
これが実に面白く、次作の「学校の怪談2」もよかった。
続く、1998年の「愛を乞うひと」では、全く違う作風で映画賞を数多く獲られた。
この3本があるために、平山さんの作品というと高い期待を持つのだが、
期待が高いということはハードルが高いということでもある。
本作がそのハードルを超えたかというと・・・。

映画の舞台は、とある精神科の病院。
そこにはいろいろな症状や事情のある人が集まっている。
主人公である鶴瓶さん演じる車いすの人は、元死刑囚であり、精神病院をたらい回しにされている。
小松奈菜さん演じる女子高生は、登校拒否であるが、家族との不仲で連れて来られたようだ。
綾野剛さん演じる男性は、幻聴による発作に悩まされている。
その他、いろいろな患者さんがおられ、様々な人間模様がある。

精神科医でもある作家・帚木蓬生さんの、山本周五郎賞に輝いた小説の映画化である。
原作は未読であるが、おそらく本で読んだ方がいい作品であろう。
映画では、登場人物の苦悩や救いが十分に描かれていない。
抑えた演出、というより、単に伝え切れていないように感じた。
個々のエピソードもブツ切れで、終盤に活きてくるということもない。

鶴瓶さんも小松奈菜さんも綾野剛さんも、それぞれ頑張っておられるが、
この映画では印象は薄い。
重いテーマを真面目に撮られたのはわかるが、
映画的な面白味は、残念ながら伝わらなかった。

評とはずれるが、主要キャストの綾野剛さんは、
現在公開中の「楽園」という映画でもメインで出演されている。
ほかに、根岸季衣さんも両方の映画に出られていた。
それがもっともふさわしいキャスティングだと思われたのだろうが、
公開時期がずっぽり被ってしまうのはどうなのだろう。
綾野さんは、キャラクターさえもちょっと被ってしまっていたし。
ここらあたり、なんとか配慮いただきたいものである。

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