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映画評 「燃えよ剣」 [映画評]

原作は、ご存知司馬遼太郎さんのベストセラー小説。
土方歳三を主人公に、幕末の動乱を描く。
1966年版以来54年ぶりの映画化とのことである。
本来、去年の5月に公開の予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期となり、
1年半遅れでの公開となった。

新選組結成前から、
戊辰戦争での五稜郭の戦いまでを描く大河作品。
新選組の面々に加え、
幕府側、
倒幕側、
と登場人物も膨大。
これを2時間半に押し込めるのはなかなか至難だが、
本作では短いエピソードをパンパン入れていくことでこれをこなしている。
結果、表面的な描写になっているきらいは否めないが、観ている側は飽きないでいられる。
史実がどうのと突き詰めるのは、ちと野暮だと思う。
私は思った以上に楽しめた。
ただ、新選組や幕末の歴史について多少の予備知識があった方がいいかもしれない。

土方歳三役に岡田准一さん。
いつもながらの切れ味であり、剣の達人という設定に強烈な説得力を加えていた。
近藤勇役に鈴木亮平さん。
ぴったりの配役である。
沖田総司役の山田涼介さん、芹沢鴨役の伊藤英明さんもはまっていた。
岡田以蔵役の村上虹郎さんも短い登場時間で鮮烈な印象。
藤堂平助役に金田哲さん、山崎烝役に村本大輔さんと、お笑いからのお二人が重要な役どころを演じられていた。

いろどりとして、土方と柴咲コウさん演じるお雪とのロマンスが描かれる。
無くていいように思ったが、殺伐としたシーンだけで150分というのもしんどかったかもしれない。

監督は、原田眞人さん。
現在72歳ということだから、この映画を撮っているときはギリギリ60代だっただろうか。
本作では脚本も務められており、いやはや凄いパワーである。

「燃えよ剣」は、熱に満ちた時代劇。
エピソードが細切れ過ぎたり、
登場人物の描き方が一面的に過ぎたり、
といった面はあるが、監督・出演者の思いにほだされる。
時代劇の持つ力を再認識できる作品でもある。

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