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映画評 「コーポ・ア・コーポ」 [映画評]

「ポコ・ア・ポコ」はイタリア語で、「少しずつ」といった意味。
この映画の舞台となっている安アパートの名前が「コーポ」なのだが、「コーポ・ア・コーポ」というタイトルにはポコ・ア・ポコのニュアンスを忍ばせてあるのだろう。
もとは漫画らしく、連載していくなかで「少しずつ」いろいろなことがわかってくるというのはあり得る展開だが、
2時間でかっちり完結させる必要のある映画という媒体でこれをやり切るのは簡単ではない。
本作も残念ながらうまくは行かなかった。

群像劇的な体裁を取っていて、
フリーター女子、
貢がせ男、
日雇い男性労働者、
怪しげな初老の男、
煙草の交換をせがむ謎の女、
といった面々の、それぞれのちょっとした物語が綴られる。

興味深く作れそうな設定なのだが、どの話も掘り下げが浅く、
伝わってくるものがない。
特に馬場ふみかさん演じる主人公のフリーター女子の人物設定が最後まで固まらないのが残念。
主人公に心を寄せられない映画は弱い。

共演は、貢がせ男役に東出昌大さん、日雇い労働者役に倉悠貴さん、怪しげな男を笹野高史さん。
影がある役であるのになんだかちょっとコミカルな東出さんがいい味。
倉さんは出演作が相次ぐ感じ。

「コーポ・ア・コーポ」は、いい意味ではなくもやもやした作品。
何を観たのか、印象も薄い。
設定の面白さがうまく活かされなかった。
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