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書評「ブラバン」 [読書記録]

津原泰水さんの「ブラバン」を読んだ。
津原さんという作家のことは知らないし、「ブラバン」という作品の評判も聞いたことが無かった。
突然、
「夏の間に青春モノが読みたいなあ」
という欲求が急にむくむく湧き上がり、
「新潮文庫の100冊にそれらしいのないかなあ」
という思いに、今作が合致したというわけである。
学生の頃は、100冊のうちで何冊読んだものがあるか、競い合ったりしたものだった。

さて、今作であるが、なんとも評しがたいのである。
読後感は、すがすがしくない。
その点では、期待はずれであった。
しかし、現在と過去を、多くの登場人物を絡めながら描写する語り口は達者で、その辺は楽しめた。
ほろ苦い青春も感じることができたし、音楽に熱くなるさまも、イメージが伝わってきた。

ただ、どうにも余計なものが多すぎるような気がした。
ほろ苦くてもいいのだが、ただ苦い場面は物語として必要だったのだろうか。
登場人物が増えて過ぎて、一人当たりの熱が薄まっているのも気になった。

惜しい、と言えばいいのか。
新潮文庫の100冊に入っているのだから、それなりのファンがいる作品なのだろうが、人に勧めたくなるかというと、そうでもなかった。
青春モノって、難しい。
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