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アメリカの光と影が拡大 [経済を眺める楽しみ]

経済指標をみると、アメリカ経済は力強く成長しているといっていいと思うが、貧富の差はさらに拡大しているようだ。
低所得者層や中間層も所得を増やしていくなかで経済が活力を増していくのならいいのだが、実際には、所得上位層が富を独占するような形になってしまっているらしい。

米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した家計調査によれば、2013年の所得上位10%の世帯の平均所得が10年と比べ10%増加したのに対し、所得下位40%の所得は減少したという。
さらに、上位3%の層の所得が全体に占める比率は、10年の27.7%から13年には30.5%に上昇したそうだ。
FRBによれば、景気後退中は最高所得層の所得が減少したため、所得格差は縮小したが、今回調査では景気後退前の拡大傾向に戻ったのだという。
景気拡大はいいことなのだが、これではみんなが喜べる形とはほど遠い。

格差が固定化する方向性も広がっていて、非ヒスパニック系白人、大学卒が世帯主の家計では平均所得が増加した一方、非白人、ヒスパニック系、中卒者が世帯主の家計の平均所得は減少した。
資産面でも格差は拡大し、保有資産上位3%の層の資産が全体に占める比率は、1989年の44.8%から2013年には54.4%に上昇し、下位90%の資産の比率は、33.2%から24.7%に低下したという。

いわゆる「お金持ち」が経済全体を引っ張るという図式自体は、否定されるべきものでもないと思うが、成長の果実を独占してしまうとなると、社会全体での納得感は下がる一方だろう。
格差が固定化し、貧しい人はより貧しくなっていくというのでは、活力が低下するだけではなく、社会不安にまでつながる可能性がある。

今更、誰もアメリカが最高の国とも思っていないし、世界一豊かな国とも思っていない。
しかし、一部の人が富を独占するような国にはなってもらいたくない。
いまだにチャンスの国ではあると思うが、そのチャンスをつかめるのも限られた層の人たちだけとなってしまったら、あまりにも寂しい。

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