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東京都の「復活予算」には驚き [公会計]

東京都の小池百合子知事が、都議会定例会の所信表明で、「復活予算」枠を廃止することを表明された。
「復活予算」とは、予算編成過程において、都議会各会派の要望を受け入れる余地をあらかじめ設けておき、原案になかった事業を予算に入れるものである。
なんでも、昭和30年代から続いている「慣習」らしい。
どうやってこの額を決めたのか不明だが、現在の枠は200億円になっているという。

復活予算の廃止については、都議会から、
「復活予算は、民意を反映されるための重要な作業」
「都政は広い分野を抱えており、知事1人では分からないこともあるだろうという前提で補完機能を担ってきた」
との反論も出されている。
また、都の予算は何兆円もあるから、そのうちの200億円くらい議会の思うようにつけさせてもいいではないか、という意見を持たれる方もおられると思う。

しかし、「復活予算」は、他の自治体からすれば非常に奇異に映る制度である。
都の財務局によると、復活予算の仕組みがある都道府県は全国で東京都のみであるというが、それはそうだろう。
地方自治法において、予算編成権は知事の専権事項であると規定されているのだから。
もちろん、議会の意見や要望を聞くことは大切だが、それは予算原案に盛り込む形で措置すればよく、丸投げの形で予算枠を渡すのには違和感がある。
また、議決権は議会にあるのだから、審議の中で予算を修正していくことも可能である。
他県の職員の意見として、
「東京はお金があるから、予算とは別に200億円も確保できるのだろう。本県では考えにくい」
といった声が紹介されていたが、本音であろう。

小池知事は所信表明で、
「何が語られ、討議され、議論されなかったのか。税金がどのように生かされるのか。それを一人でも多くの皆様に知っていただきたい」
とされた。
正論だと思う。
一方、復活予算廃止に伴い外部からの意見を取り入れる仕組みとして、各局が推薦した団体の要望を15分程度聞く方向で調整しているというのだが、こちらはどうだろう。
議会から
「限られた時間の中でどれだけの方々から話を聞くことができるのか」
との反論が出されているようだが、こちらは議会の意見に分があるように思える。
この仕組みでは、それほど多くの団体の意見は聞けないうえに、一団体15分では深掘りすることもできないだろうから。

現在の小池知事は、かつての橋下知事のように、その一挙手一投足が注目される存在になっている。
慣習的に行われてきた不透明な行政運営に、メスを入れる大きなチャンスである。
東京都だけでなく、自治体のあり方を考えるうえでも、小池知事の動きから目が離せない。

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