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映画評 「君の膵臓をたべたい」 [映画評]

「君の膵臓をたべたい」という小説が嫌いだ。
気色の悪い展開の連続で、最後まで読み通すのが苦痛だった。
だから、映画化されても観に行く気はなかった。
あの小説を映画でなぞりたいとは全く思えなかったからである。

しかし、映画はヒットした。
「ジョジョ」や「東京喰種」といった大作がすってんころりんしていくなか、公開7週目でも興行成績第7位。
いわゆる「腰の強い」動員となり、興収は30億円を突破。
わかりました、わかりました、食わず嫌いせず、観てみます。

映画は、小説と比べるとぐっと良くなっていた。
小説のダメなところが上手に緩和され、「観られる」内容だった。
個人的には大コケした「ジョジョ」の方が好きだが、本作がヒットするのもわかる気がした。

なんといっても、主演の浜辺美波さんがいい。
映画のなかで「クラスで3番目にかわいい」と言われるシーンがあるのだが、失礼ながらそのとおりで、圧倒的にかわいいわけではない。
だが、その演技で映画をグイグイ引っ張っていく。
へんてこりんな役に説得力を吹き込んでいた。
そういえば、「咲 -Saki-」でも主役を張って麻雀を打ってた子だ。
共演の北村匠海くんの演技もいいのだが、「クラスで一番地味な男の子」という設定の割にイケメン過ぎるのがいかがなものか。
映画だから、見た目のいい人を主演に持ってこなければならないという事情はわかるが、真剣に向き合うのなら、別のタイプの俳優を使うべきだったと思う。
というわけで、小説よりはいいが、まあその辺りの映画である。
いい映画を作りたい、作らなければいられない、という執念はうかがえない。

出演陣で気になったのは、「トリガール!」に続いて見かけた矢本悠馬さん。
私の大好きな「ちはやふる」メンバーである。
矢本さんは27歳だが、「トリガール!」では大学生、本作では高校生を演じている。
今やコミカルな役どころは、矢本さんに集中している感じである。

不治の病ものは、映画の定番中の定番である。
昔も今も、繰り返し作られている。
ド定番だけに、ひねらなければ見向きもされないところであり、本作は「え?」と思わせるタイトルと、明るく元気な主人公という新機軸で当たりを取った。
現実に病と闘っておられる方からすれば、なんじゃこれ、だろうが、ファンタジーとして楽しむべきものであろう。
本作の場合、原作のヘンテコさを脚本でなんとかしているうちに、別のヘンテコさが出てしまっている。
まあ、あまりシリアスにとらえず、ひたすら浜辺美波さんを楽しむ作品だと思う。

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