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映画評 「散歩する侵略者」 [映画評]

「散歩する侵略者」は、国際的に評価の高い黒沢清さんの監督作。
黒沢作品では、「クリーピー 偽りの隣人」も「リアル~完全なる首長竜の日~」も全くピンと来なかったのだが、今作は楽しく見ることができた。

「散歩」というのどかな言葉とかみ合わないが、これは宇宙人による地球侵略の話。
しかし、ハリウッド製のSF大作ではなく、つながりの物語である。
宇宙人は残忍極まりないのだが、なんとなく憎めなかったり。

不思議な雰囲気のある映画で、
舞台のようにも見えるし、
ヒチコック的にも見えるし、
古い日本映画の空気も感じる。

黒沢作品らしく、というべきか、へんてこりんな展開もある。
宇宙人を追う組織の間抜けさや意味のなさは、狙ってやっておられるにしても、興をそぐ。
まあ、パロディみたいなもの、と理解するのだが。

残念だったのは、ラストに後日談的な付足しがあったこと。
あの部分はなくして、いったいどうなったんだろうと観客に考えさせた方がよかったのではないかと思う。
それはそれでもやもやするだろうが。

主演の夫婦に松田龍平さんと長澤まさみさん。
松田さんはとぼけた感じを巧みに出され、
長澤さんもやるせなさをにじませておられた。
それでいて、どこかおかしいのがこの映画。
「トリガール!」でさわやかなイケメンを演じていた高杉真宙くんが、あっけらかんとした宇宙人を演じている。
ジャーナリスト役の長谷川博己さんとの掛け合いが楽しい。

「散歩する侵略者」は、不思議な魅力を持つ怪作。
スカッともしないし、ハラハラもしないかもしれないが、映画全体を包む漠然とした不安が、どこか心地よい。
観る人を選ぶ映画かもしれないが、私は楽しかった。

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サンフランシスコ人

2018年9月30日にサンフランシスコの日本町の映画館で上映...

http://www.jffsf.org/2018/before-we-vanish/
by サンフランシスコ人 (2018-08-26 06:17) 

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