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映画評 「新感染 ファイナル・エクスプレス」 [映画評]

韓国発のゾンビ映画。
評判がよく、どうせ面白いだろうと思って観に行ったら、そのとおり面白かった。
最初から最後まで無駄に思えるシーンがなく、「ここをこうしたらよかったのに」と思わせるところがない、実によくできた映画だった。

舞台となるのは、韓国高速鉄道、いわゆるKTXである。
日本で言うところの新幹線(フランスのTGVの技術らしいが)であり、日本語タイトルもこれをもじっている。
原題は「釜山行」という意味だが、日本題にはゾンビ映画らしい馬鹿馬鹿しさがあって、これはこれで捨てがたい。

噛まれたら感染する、感染した人間が集団で襲ってくる、というゾンビの基本ルールを踏襲しつつ、いくつかの弱点も用意されていて、そこを利用して登場人物たちが生き残りを図る。
しかし、逃げようにも高速列車という密室が舞台になっているし、駅という駅もえらいことになっているから、八方ふさがり。
協力し合うべき乗客同士の反目もあり、ピンチの連続である。

主人公は、父と娘。
仕事ばかりで家庭をかえりみなかった男は、妻と別居中であり、娘に母に会いたいとせがまれ釜山行きの高速鉄道に乗り込み、災難に遭う。
男はファンドマネージャーをしていて、お金は持っているようだ。
ファンドマネージャーのステレオタイプは韓国でも健在らしく、なんだかおかしい。
そのほか、肉体派のおやじと妊娠中の綺麗なその妻、高校野球児と彼に告白した女子生徒、もぐりこんでいた浮浪者、といった面々がゾンビと闘う。
父と娘以外の登場人物については背景が描かれているわけではないが、設定とその行動だけでストンと来る。
この辺り、監督の手腕の高さがうかがえる。

日本を含め、世界中でゾンビ映画が作られていて、あらかた出尽くした感があるところだが、人の想像力には限界がない。
今作でもいろいろなアイデアがてんこ盛りにされていて、新しい驚きに満ちている。
映画を作る人にしてみれば、ゾンビ映画はやりたいことができるジャンルなのかもしれない。
私の好きな映画である「桐島、部活やめるってよ」でも、主人公の男の子が、『生徒会・オブ・ザ・デッド』というゾンビ映画を撮っていた。

私は、ゾンビ映画の愛好家ではないが、去年公開された日本映画「アイアムアヒーロー」も実に面白かった。
妙な表現だが、ゾンビ映画には夢がある、といったところだろうか。
本作はあまり多くの映画館で上映してはいないようだが、わざわざ観に行く価値のある作品だと思う。

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