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映画評 「ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK ‐The Touring Years」 [映画評]

ビートルズが活躍したのは、1962年から1970年まで。
私は、リアルタイムの彼らを知らない。
マイケル・ジャクソンやプリンスやマドンナとは一緒に年を取ったし、
日本では、沢田研二も見たし、サザンとはずっぽし重なった。
スポーツでは、王、長嶋には何とか間に合ったし、野茂もイチローも目に焼き付けた。
ボクシングでは、アリもタイソンも、輪島も石松も具志堅も見た。
しかし、ビートルズと時間を共にできなかったのは、なんとしても無念である。
伝説としておさらいするしかない。

「ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK ‐The Touring Years」は、ザ・ビートルズ全盛期のツアーを中心に追ったドキュメンタリー。
イギリスでの突然の熱狂から、アメリカ進出、日本での公演、
ジョンのキリスト教をめぐる発言の騒動、
ライブ活動の終了など、
ジョンを除くメンバーのインタビューを交えながら時系列で映していく。
『ビューティフル・マインド』や『アポロ13』『ダヴィンチ・コード』などで知られるロン・ハワードが監督をしているから、単なる記録映画を超えた面白さも十分にある。

解散前には、メンバー間でもいろいろゴタゴタがあっただろう。
しかし、そこは描かれない。
ヨーコも全く出てこない。
しかし、本作においてはそれでいいのだと思う。
本作はあくまでも絶頂期について描いているのであり、ビートルズ顛末記ではない。

周知のとおり、ビートルズの曲は、ほとんどジョン・レノンとポール・マッカートニーによって書かれている。
では、この2人がいればビートルズであったかと言えば、そうではなかっただろうことがこの映画を見るとよくわかる。
当たり前のことだが、リンゴ・スターとジョージ・ハリスンが揃ってはじめてビートルズだったのだ。

それにしても、若いころの彼らは痛快である。
世界の歴史に残るような大騒動に巻き込まれながら、それを楽しみ、自らを茶化しているかのようでさえある。
インタビューの受け答えも軽妙で楽しく、これはみんなが夢中になるわけである。

映画では、メンバーのほかに、著名人にもインタビューしている。
ウーピー・ゴールドバーグ、シガニー・ウィーバー、エルヴィス・コステロといったそうそうたるメンバーが語るビートルズも興味深い。

映画では、ビートルズの数々のヒット曲が流れる。
これでもかと流れるのだが、それでも彼らの作った名曲のごく一部だから恐れ入る。

それにしても、彼らがいなかったら、この世界はどうなっていたのだろう。
大げさではなく、いろいろなことが変わっていたと思う。
ロックの歴史が変わっていたというレベルではなく、世界の歴史が変わっていたと思う。
彼らがいなければ、生まれなかったバンドがたくさんあったのはもちろんだが、
それどころか生まれなかった命もたくさんあっただろう。
もうこんなバンドは出てこない。
リアルタイムで見たかった。

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