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映画評 「鋼の錬金術師」 [映画評]

私は、曽利文彦監督の「ピンポン」が大好きだ。
ちょっと好き、というレベルではなく、劇場で3回観たし、買って来たDVDも何度も何度も見返すほどはまった。
「鋼の錬金術師」については、そこまでの思い入れはないが、2003年10月から1年間放送されていたアニメはすべて見たし、原作のコミックスも数冊ある。
だから、曽利監督が鋼を撮り、精魂を傾けていると聞いては、これはもう観に行くしかない。
期待に胸を膨らませるしかない。
すでに観に行った方々の評価は散々だが、人がどう思おうと、自分が楽しめればいい。

結果、なんとも微妙だった。
そんなに酷評するような映画ではない。
原作ファンからはいろいろ言われているらしい主演の山田涼介くんだが、別に悪くなかった。
エドを演じられるのは、山田くんだけな気もする。
ディーン・フジオカさんも、どの角度から見ても男前だった。
松雪泰子さんは妖艶だったし、本郷奏多さんもはまっていた。
蓮佛美沙子さんは特によかった。

つまらなくはないし、
曽利監督作品らしく映像もしっかりしているのだが、訴えてくるものが乏しい。
世界観にも、今一つ入り込めない。
話が見えづらく、感情移入ができない。

正直なところ、成功作かと問われたら、「そうだ」とは答えにくい。
もっと他にやりようはいくらでもあったような気がする。
例えば、のっけに展開される大司教との闘いに焦点を絞り、
「格の違いってやつを見せてやる」
の決め台詞をピークに持ってきてもよかったのではないだろうか。
ハガレンは深い作品なので、それでは気が済まなかったのだろうが。

一所懸命に作られた映画だと思う。
手抜き感はなかった。
しかし、それでいい映画になるとは限らない。
短時間で、ちゃちゃっと作ったにも関わらず、人の心を動かす作品になることもある。
映画作りは単純でもあり、途方もなく難しくもある。

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