SSブログ

映画評 「日本一大きいやかんの話」 [映画評]

本作は、東京の高校生3人が原発の是非について考えるドキュメンタリー。
なんでも、「高校生のためのeiga worldcup2019」の自由部門で最優秀賞作品を受賞したのだという。
確かになかなかの力作。
しかし、ドキュメンタリーではあっても映画にはなりきっていない感がある。
本人たちも映画らしい映画を作ろうという気はなかっただろうけれど。
(とはいえ、ナレーションはもう少し丁寧に読んでもらいたかった)

タイトルの「大きいやかん」は原発のこと。
序盤で原発の仕組みを聞く場面があり、火力などと同様に蒸気の力で発電することから、
やかんに例えている。

彼らが本作を作ったきっかけは、中学三年生の時に受けた原発に関する授業だったという。
原発の賛成派はひたすらデータを使って相手を説得しようとし、
反対派は福島に対する思いを語る。
いつまでたってもかみ合わない議論に、自分たちが橋渡し役になれないかと考えたのだそうだ。

原発とはどんなものなのか、
世界の状況はどうなのか、
福島の状況はどうなのか、
彼らはあちこちに話を聞きに行った。
アメリカに渡り、
原発大国のフランス大使館に行き、
福島を訪れる。
原発の専門家の話や東京電力の話も丁寧に聞き出している。
バイタリティはもちろんだが、相手の話を聞き出す力も素晴らしい。
なかなかイケてる高校生である。
実に頼もしい。
自分の高校時代と比較して、こういう飛び抜けた人間たちが時代を変えていくのだろうと思った。

そう、彼らが言うとおり、原発についてはイデオロギーを抜きにして考えたい。
日本では、それがなかなかできていない。
政争の具になっている感もある。
そんなことをしている場合ではないのに。
この映画のような若者からの問いかけは、世の中を動かす力になるかもしれない。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。