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映画評 「ハード・コア」 [映画評]

本作は、狩撫麻礼さんといましろたかしさんによるコミック「ハード・コア 平成地獄ブラザーズ」を映画化したもの。
このところ、人気少女漫画の映画化が続いているが、本作はそうした系譜とは全く違う。
ゴリゴリの映画である。

さて、ハード・コアというとどんなことを思い出すだろう。
私に限らず、一定年齢以上の人は、「過激なポルノのこと」と一直線に結びつけるのではないだろうか。
今やネットの普及もあり、なんでもありな感じだが、70年代、80年代くらいまでのポルノ界隈には、ここまでならやっていい、これを超えたらアウト、という線引きが微妙にあった。
ハード・コアは、その線をぐいと超えてくるイメージであった。
一方、ハード・コアには道路の「底石」という意味もあり、そこから底辺にいる人のことを示したりもするようだ。
その解釈は映画の内容とも合致する。

監督は、山下敦弘さん。
「リンダ・リンダ・リンダ」で一躍その名を知られるようになったが、売れる映画を作る気はあまりなさそうに見える。
作りたい映画を、共感できる俳優と組んで撮る監督という感じだろうか。
2016年に観た「オーバー・フェンス」という映画も、ヒットしそうな感は全くしなかったが、心に刺さる作品だった。

主演の山田孝之さんがプロデュースも務める。
山下さんと山田さんが組んだ以上、平穏無事な映画になるはずはない。
この映画も、初っ端からぶっ飛ばしていく。
ハード・コアらしくエロいシーンもある。
暴力シーンは控えめ。

共演は、山田さんの弟役に佐藤健さん、友人役に荒川良々さん。
お二人ともさすがの演技をされていた。

おそらく、はまる人にははまる映画なのだろう。
日経の映画評では、「今年有数の傑作」を示す★5つを獲得していた。
コアな映画ファンにも支持されそうな気がする。
しかし、私にはピンと来なかった。
どこが、というより、全編で胸に届かなかった。

野心作であることに間違いはなく、
実験的でもある。
そういう作品は好きだ。
しかし、ワザとであるにしても設定を含めた作りは雑。
オチも決まったとは言い難い。

「ハード・コア」は、映画ファンなら観た方がいい作品なのだろう。
山下×山田のコンビなのだから。
通りすがりの人は、覚悟を決めてご入場あれ。
ひょっとしたらピタッとくるかもしれないが、
とことん逆に出る可能性もある。

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