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映画評 「映画大好きポンポさん」 ~ 絶賛します。是非! ~ [映画評]

この映画を観たのは、結構前のことになる。
通常は、観終わったら忘れないようにとすぐに感想を書くのだが、
今作は、温めた方がいいように思った。
大切にしたいという気持ちになった。

文芸大作でもなく、
社会派でもない、
単なる、と言ってしまえばそれまでの娯楽アニメ。
それが、ずしんと来た。

原作を読んだことはないし、
映画が公開されたことも知らなかった。
口コミで良さが広まっていて、
映画作りがテーマとあっては、
うずうずしてしまう。
しかし、初見さんお断りの作品だったり、
内輪の人にしかわからないノリだったり、
という危険性もある。
劇場に足を踏み入れた時は、期待半分不安半分だった。

タイトルにもなっている「ポンポさん」は、天才映画プロデューサー。
世界をまたにかけて大活躍をしている。
十代の少女に見える描かれ方をしているが、年齢は明かされない。
主人公は、ポンポさんではなく、ポンポさんのアシスタントをしているジーンくん。
暗い青春を送っていて、支えは映画だけという存在。
そのジーンくんが、大作映画の監督をすることになっての一部始終が描かれる。

序盤から映画のうんちくが語られる。
映画とはどうあるべきなのか、
面白い映画とは何なのか。
おいおい、そんなにハードルを上げて大丈夫なのか、と心配になったが、
この映画、最初から最後まで面白い。

映画好きに向けた映画であり、
映画ファンである私の点数が甘くなっている可能性はある。
しかし、それを割引いても面白い。
スタン・ハンセン、ロード・ウォリアーズといった往年のプロレスラーの名前が意味なく出てくるが、
そんなことにも簡単にくすぐられた。

凝縮されたストーリー展開、
すっくと立っているキャラクター、
胸熱くなる展開、
心を突き刺すセリフの数々。
いやはや恐れ入りました。

後半の展開は、ちょっとうまく行き過ぎる感はあり、
もう少し苦みがあってもいいかな、とは思うが、
それもあえてあらを探せばの話。
ああ楽しかった。

監督・脚本は、平尾隆之さん。
すごい作品を仕上げられた。
6月4日に公開された本作は、じりじりと公開館を増やしつつ、ロングランを続けている。
それだけの価値がある作品である。
「漁港の肉子ちゃん」という映画を観て、
今年中にこんなに好きになる映画には出会えないかもしれない、
と思ったのだが、
あれ、出会ってしまった。

「映画大好きポンポさん」は、映画ファンへのキラキラとした贈りもの。
ありがたく、ありがたく受け取った。
映画をお好きな方には是非ご覧いただきたい。
それほど映画が好きではないという方もきっと楽しめる。
今年の一本に本作を挙げる人は少なくないと思うし、
今年の一本に挙げることが十分理解できる。
今年の一本に挙げる人と語り明かしたい気持ちになる。
是非!

映画の中で、主役のジーンくんが予告編を作るシーンがある。
まるでジーンくんが作ったかのように盛り上がる予告編はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=WN-j_AcMB3I

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