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突っ込みどころにあふれる財務省の負担軽減案は「仕掛け」? [公会計]

再来年4月に予定されている消費税率が10%に引き上げられる際の、負担軽減に係る財務省案の詳しい内容が明らかになった。
そのあまりにも突っ込みどころの多い提案に、早くも各方面から批判や疑問の声が上がっている。

ご存じの方も多いと思うが、財務省案はざっとこんな内容である。
1 消費者は、まず消費税10%を支払う。(つまり、この段階では軽減措置なし)
2 店舗側が飲食料品の購入額を専用端末に打ち込み、消費者が端末にマイナンバーの個人番号カードをかざす。
3 2の内容が負担軽減相当額をポイントとして、政府の「軽減ポイント蓄積センター」に記録される。
4 ポイント分の払い戻しを受けるには、消費者はマイナンバー関連サイトから申請し、指定した本人名義の口座に還付してもらう。
5 還付金には上限額を設けられ、1人当たり年4千円程度となる見込み。

この案については、
「はじめに10%払うのでは、痛税感の解消につながらない」
「実際に消費される額と還付額が合っていない」
「きちんと運用されるかどうかが不安視されているマイナンバーの使用を前提としていることがそもそもおかしい」
「マイナンバーを持ち歩かなければならないのが面倒だし、店舗側の負担にもなる」
「軽減ポイント蓄積センターの設置に3000億円かかるなどとされていて、これでは本末転倒」
「高齢者や障害をお持ちの方がこのシステムに対応できるとは思えない」
などなどである。
自民党の伊吹文明元衆院議長も、
「非常にみっともない案」
などと痛烈に批判されたという。
さらに、
「もしこんなことを財務省が本気になってやっていたら、財務省としての存在価値はないと思う」
とまでおっしゃったらしい。

私も、この案を聞いた瞬間に、いくつも「?」が頭に浮かんだ。
しかし、元財務官僚で、常に財務省に批判的な高橋洋一さんによれば、これは財務省の罠なのだそうだ。
現在、非難轟々の状況だが、これは財務省のシナリオ通りだと言うのである。
少し、高橋さんのブログを引用してみよう。

「(批判が集まっている状況について)これを仕掛けた財務官僚は、しめしめとほくそ笑んでいるだろう。こうした批判は既に織り込み済みだし、その仕掛けに隠された本質に誰も気がつかずに、エサを食ってくれたと。」
「仕掛けの本質は、ずばり、2017年4月からの10%への消費再増税を既定事実として国民にすり込むことだ。財務省案の還付には、誰でも指摘できる問題点が多すぎる。あえて指摘してくれといわんばかりだ。」

つまり高橋さんによれば、わざとトンデモな軽減策を持ち出して、議論をそちらに集中させ、消費増税の是非自体からは目をそらさせようとしているというのである。
高橋さんのブログは、以下の文章で締めくくられている。

「消費再増税は政治的にはまったく白紙であるにも関わらず、こうして、マスコミは財務省の手のひらの上で踊り、17年4月からの10%への消費再増税が既成事実化していっている。」

高橋さんの見方には、「まさか、そんなことをするだろうか」という思いが起きる。
一方、今回の財務省案は、そうとでも考えなければ説明がつかないくらいに、突っ込みどころが満載である。

国民の目をくらませるために、わざとトンデモな提案をしたのだろうか。
それとも、
本気でよかれと思って今回の提案がされただろうか。
どちらだとしても、幸せではないが。
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