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映画評 「少女は卒業しない」 [映画評]

原作は朝井リョウさんの連作短編小説。
間もなく校舎が取り壊される高校を舞台に、少女たちの卒業式までの2日間が描かれる。

私は原作が好きなので、
映画化されると聞いて楽しみにしていた。
しかも信頼感抜群の河合優実さんが主演とあって、期待は高まる。

だが、残念。
映画なので原作どおりにやってもらう必要はないのだが、
悪い具合に改変されてしまっていて、
心が動く瞬間がほぼなかった。

設定は、
卒業式があと2日後に迫った地方の高校。
廃校となることが決定していて、生徒たちも複雑な思いを抱えている。
もとが連作小説であり、
この映画も4本ほどのストーリーが並行して走る。
なのだが、それらが大団円に向けて盛り上がっていくということはなかった。

監督は、「カランコエの花」の中川駿さん。
カランコエと同様に、若手女優の皆さんの自然な雰囲気を出すことには成功されている。
ただし、本作は物語が弱い。

主演は、「喜劇 愛妻物語」「アンダードッグ」「佐々木、イン、マイマイン」「サマーフィルムにのって」「由宇子の天秤」「ちょっと思い出しただけ」「愛なのに」「女子高生に殺されたい」「PLAN75」「ある男」
などなど、佳作への出演が相次ぐ河合優実さん。
河合さんが出るからいい映画になるのか、
いい映画が河合さんを引き寄せるのか。
そんな河合さんだが、本作では彼女のよさが十分に発揮されたとは言い難い気がする。

女優陣では、中井友望さんが印象的だった。
河合さんの相手役だった窪塚愛流さんは、お父さんと声やしぐさがそっくりで驚いた。
「あつい胸騒ぎ」で驚かされた佐藤緋美さんが、本作でも美味しいところを持って行く。

「少女は卒業しない」は、原作ファンであってもなくても、
期待して観に行ってしまうと肩を落とすことになってしまう作品。
この原作で、河合さんで、どうして・・・。
なんとも残念。
一生懸命作られたこともわかるのだが、
映画って、こういうこともある。

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